2024年 05月14日(火)

現在
6時間後

こんにちはゲスト様

高知新聞PLUSの活用法

2023.05.16 08:00

小社会 良心の呵責

SHARE

 特徴ある口ひげに、不敵な笑みを浮かべた白い仮面を近年よく目にする。香港の民主化デモ、国際ハッカー集団「アノニマス」の象徴…。このマスク、17世紀初頭の英国を騒がせたガイ・フォークスなる反逆者を模しているそうだ。

 英国に留学経験がある脳科学者、茂木健一郎さんがかつて本紙にこの人物のことを書いている。1605年。国王の統治に不満を持つ一派が、国会議事堂を爆破しようと企てた。

 ところが、罪のない人々を巻き込むことに良心の呵責(かしゃく)を感じた仲間の密告で、寸前に発覚。大量の爆薬とともに地下室に潜んでいた実行役のガイ・フォークスは捕まり、処刑された―。英国では事件が発覚した11月の夜、かがり火をたき、花火をする祭りがあるという。

 日本を代表する目抜き通りの夕刻、人目もはばからぬ犯行に驚かされた。東京・銀座の高級腕時計店を仮面姿の3人組が襲った強盗事件が起きて1週間余り。はやりの「ガイ・フォークス・マスク」を着けた姿もあった。

 警察が身柄を確保したのは10代の男4人。互いに面識はないとし、「闇バイト」の募集に応じた可能性もいわれる。特殊詐欺の「受け子」、高齢女性が殺された広域強盗事件。今回もそうならば、あまりにもお手軽に犯罪に加わる若者が量産されているようで恐ろしい。

 罪のない被害者や、家族の人生まで巻き込む。そんな良心の呵責を感じる余地があってほしいものだ。

高知のニュース 小社会

注目の記事

アクセスランキング

  • 24時間

  • 1週間

  • 1ヶ月