2023.05.14 08:00
小社会 名もなき家事
もとは7年ほど前、住宅メーカーがつくった言葉で、女性たちの共感を得て広がったらしい。インターネット上にはこれらの話があふれ、関連本も多い。
「夫が知らない家事リスト」(野々村友紀子著)という本を開くと、211項目が出ていた。排水溝を洗う/シャンプーの補充/傘をしまう/レンジの掃除/クリーニング出しと受け取り…と、当欄にはとても書き切れない。
子育て関連も、曜日ごとの持ち物管理/上履きを洗う/予防接種の把握…とわんさか。著者は誰でもすぐにできることを「1秒家事」「8秒家事」と具体的に列挙し、それらを誰かがそのままにしてあるから後から何時間もかかるのだ、と嘆く。
総務省の社会生活基本調査(2021年)によると、日々の家事関連時間は男性51分、女性3時間24分。男性は20年前より20分増えたが、平均すると1年で1分延びた程度の変化でしかない。
きょうの「母の日」、多くの人にとっては「妻の日」でもある。先の本はこうおだてる。「男性はやるべきことが見えると、効率的に動ける人も多い」。さて―。