2023.05.12 12:54
ズギャンッ! 万太郎が寿恵子と運命の再会 実際の牧野富太郎博士は、妻・寿衛をどう射止めた? 朝ドラ「らんまん」【web限定】
槙野万太郎(神木隆之介さん)と西村寿恵子(浜辺美波さん)=NHK提供=
高知県出身の植物学者、牧野富太郎博士を主人公のモデルにしたNHK連続テレビ小説「らんまん」。第6週「ドクダミ」第30話では、槙野万太郎(神木隆之介さん)がヒロインの西村寿恵子(浜辺美波さん)と東京で再会しました。
憧れの寿恵子が突然現れてしどろもどろになり、「ズギャンッ!」と胸を打ち抜かれた万太郎の姿に、朝からニヤニヤしてしまった人も多かったのではないでしょうか。
運命的な再会を果たした万太郎と寿恵子ですが、実際の牧野博士と妻・寿衛の出会いはどのようなものだったのでしょうか。
牧野博士の自叙伝などによると、博士が寿衛と結婚したのは明治23(1890)年頃、27、8歳のときでした。当時の牧野博士は東京大学の植物学教室に出入りして研究に取り組んでおり、当時下宿していた麹町三番町から本郷の東大へと行く途中、飯田町にあった小さな菓子屋の娘、寿衛を見初めました。
昨年10月、高知市の県立牧野植物園で朝ドラ「らんまん」のクランクインを報告した神木隆之介さんと浜辺美波さん
「彼が毎日通る今川小路に小さなお菓子屋があった。ある日通りがかりにその菓子屋に立ち寄った彼は、そこで驚くべき発見をした。といってもそれは植物ではなかった。店頭に座った品のよい美しい娘であった。珍しい植物には動じない彼も、なぜかひどくあわてて、買い物のお菓子もそこそこに店を飛び出した。」
寿衛の父は彦根藩主井伊家の家臣、小沢一政。寿衛が幼い頃は裕福で、唄や踊りを習っていたようです。
寿衛との出会いについて書かれた牧野博士の自叙伝の記述を引用します(原文ママ)。
「青年のころ私は本郷の大学へ行く時その店の前を終始通りながらその娘を見染め、そこで人を介して遂に嫁に貰ったわけです。仲人は石版印刷屋の親爺ーというと可笑しく聞えるけど、私は当時大学で研究してはいたが何も大学へ就職しようとは思っていず、一年か二年この東京の大学で勉強したらすぐまた土佐へ帰って独力で植物の研究に従事しようと思っており、自分で植物図譜を作る必要上この印刷屋で石版刷の稽古をしていた時だったので、これを幸いと早速そこの主人に仲人をたのんだのです。まあ恋女房という格ですネ。」
ーまあ恋女房という格ですネ。・・・なんだか照れくさそうに書いている牧野博士。ドラマの中の万太郎と同様、牧野博士もお菓子屋で寿衛と会うときはワクワク、ソワソワしていたのかも知れませんね。万太郎と寿恵子の仲も今後どのように深まっていくのか、楽しみです。(楠瀬健太)
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