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2023.05.09 08:40

“植物の精”息づく園に 牧野公園はなもりC―LOVE(高知県佐川町)

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牧野富太郎博士ゆかりの植物の植栽に取り組む「牧野公園はなもりC―LOVE」のメンバー(佐川町甲の牧野公園)

牧野富太郎博士ゆかりの植物の植栽に取り組む「牧野公園はなもりC―LOVE」のメンバー(佐川町甲の牧野公園)

 4月に放送が始まったNHK連続テレビ小説「らんまん」。主人公のモデルとなった世界的な植物学者、牧野富太郎博士の故郷である佐川町には、博士ゆかりの山野草を年中楽しめる牧野公園がある。その整備を担うのが、住民グループ「牧野公園はなもりC―LOVE(くらぶ)」だ。

 メンバーは10~80代の約70人。毎週水曜の活動日、参加できる人は町の中心部を見下ろせる高台の公園に集まり、草引きや山野草の植栽に汗を流す。

 3月中旬、30人ほどのメンバーが山野草の苗が入ったポットに土を入れるなどの作業に励んでいた。「きれいに咲いてほしい」「いとおしいね」と和気あいあい。約1年前から参加する同町乙の東森真百美さん(70)は「週に一度、草花と出合えるのがうれしくて。草引きは大変やけど、新芽が出たときの喜びはたまらない」と笑顔で話す。

 桜の名所として古くから知られた牧野公園。牧野博士の生誕150年だった2012年、博士ゆかりの草花も増やそうとの機運が高まった。2年後の14年、町は10年計画でのリニューアルに着手。その年、活動を始めたのが「はなもり」だ。

 計画が目標に掲げるのは、牧野博士生誕の地として“植物の精”が息づく公園にすること。園芸店などで買った苗ではなく、メンバーらが野生の草花の種から育てた苗を植え、地道に種類を増やしてきた。

 当初50種類ほどだった牧野博士ゆかりの植物は今、約400種類に。牧野博士が日本人として初めて学名を付けたヤマトグサ、こよなく愛した白く愛らしいバイカオウレンなど、四季折々の草花が楽しめる公園になった。はなもり発足時から公園整備を担当する町まちづくり推進課の戸梶友子さん(41)は「花を楽しんでくれる人、作業をする人、両方の笑顔がこの10年弱で増えた」と振り返る。

 牧野博士の思いを受け継いで草花を大切に育ててきたメンバーにとって、博士をモデルにした朝ドラの放送は望外の喜び。田村勇勝さん(75)は「多くの人が訪れてくれるろうき、牧野博士の名に恥じない公園にしていく」。笑顔の花が咲くことを願っている。(楠瀬健太)

《メモ》
 牧野富太郎博士は佐川町の造り酒屋に生まれた。幼少期から植物に興味を持ち、上京後は植物分類学の研究に没頭。生涯で約40万点の標本を収集し、発見・命名した植物は1500種以上に上る。公園周辺は1902年に牧野博士が贈ったソメイヨシノの苗から育てられた桜の名所として知られる。桜は戦時中に伐採されたが、戦後に住民らが植え直し、公園として復活した。牧野博士の墓も園内にある。

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