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2023.05.06 08:30

「我が庭の草木の中に吾れは生き」最晩年の心境 「シン・マキノ伝」=第6部=【70】田中純子(牧野記念庭園学芸員)

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図1 92歳の牧野富太郎(昭和29年11月、岡田喜一撮影)個人蔵

92歳の牧野富太郎(昭和29年11月、岡田喜一撮影)個人蔵


 昭和26年夏に牧野家は新居に移った。大正15年大泉に引っ越したときの家は、2階に置かれた牧野の蔵書などの重みにより、根太がずれ玄関に歪みが生じ古くなっていたからである。その年、牧野は文化功労者に選ばれ年金が支給されることとなった。前の年には、日本学士院に仲間入りした。これに関連した記事をここに紹介したい。それは市河三喜*の「牧野博士訪問記」(「採集と飼育」13(5)、1951年)である。すなわち牧野博士が「お庭の植物を一通り案内されたが、これも座敷と同じく乱雑を極め足を踏み入れる余地もない。主人の頭髪と同様手を入れたことがないと見えて草茫々(ぼうぼう)、その中に大きな防空壕が陥(おと)し穴のように草に蔽(おお)われているから危ないことおびただしい。博士は小山君(筆者注:千代田出版社)に手を引かれ、その中を、これがベニガクこれがミズバショウと一々説明して下さった。『植物図鑑』の口絵にあるニシキマンサクも紹介された。1時間ばかりお邪魔してお別れしたが、その後まもなく先生は学士院会員になられ、10月12日の例会にはお嬢さんに連れられて出席されたが、この時はフロック姿で髪も綺麗に撫でつけていられた。……特に牧野博士は今年数え年で90歳、…

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