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2023.05.02 08:30

今日辞表を出してもらいたい 「シン・マキノ伝」=第6部=【66】 田中純子(牧野記念庭園学芸員)

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ジョウロウホトトギス(東京都立大学牧野標本館蔵)

ジョウロウホトトギス(東京都立大学牧野標本館蔵)

 話が前後してしまうが、牧野富太郎は「牧野日本植物図鑑」を刊行する前の年、つまり昭和14(1939)年に東京大学の講師の職を辞した。辞職するに当たり少なからず牧野にとっておもしろくない思いをする一件があったと自叙伝から分かる。この一件は昭和14年7月25日の東京朝日新聞に取り上げられ、全文が自叙伝の「学内事情」という見出しで引用される。新聞の見出しは次のごとくであった。

「四十七年勤めて月給七十五円
東大を追われた牧野博士
深刻な学内事情の真相をあばく」

 記事の内容は、AとBの対話形式で牧野の辞職に際しての一騒動を話題とし、大学での牧野の不遇にも言及したものである。一騒動とは、同年5月に、東大の植物学教室の事務員(牧野が言うには助手)が大泉の牧野の邸宅を訪れ牧野に向かって、適当な機会に辞表を出したいと言っておられたので、今日辞表を出してもらいたいと述べた際に、失礼な言辞があったようで、博士はカンカンになって怒り出してしまった。また、お嬢さんも隣の部屋でただ聞いているには忍びなくなって飛び出し、大声で…

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