2023.04.28 08:00
小社会 また飲酒運転か
この事故は後にいろいろな轍(わだち)を残していく。一つは危険運転の厳罰化で、危険運転致死傷罪の新設につながった。一方、同社では4年後に役員の、さらに3年後には関連会社の社長の飲酒運転が発覚。重なる負のイメージに、「高知」のロゴの主(あるじ)だった県園芸連や、本県の運送業界全体が批判を受けたこともある。
そして、4度目の不祥事である。管理職が昨年、摘発されていたことが分かった。東名事故の教訓はまたほごにされた。
県内ではほかにも、罪深い飲酒運転が相次ぐ。酔鯨酒造の社長、県中体連理事長の中学教員…。なぜ、後を絶たないのか。お酒の怖さと言えばそれまでだが、無力感を最も感じているのは東名事故の遺族の両親かもしれない。
両親は事故後、飲酒運転の撲滅活動に身を投じてきた。「力が抜ける思い」。今回の一件にそう応じた心中を察する。あなたたちの活動で防げた事例もあるはず、とでも言えば、少しは支えになるだろうか。
大型連休が近づき人々は開放的になる。コロナ禍が明ければ、酒席も増えよう。酒の国土佐。その悪癖も自覚せねば。