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2023.04.25 08:00

【統一選を終えて】自治への関心どう高める

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 統一地方選の後半戦となる市町村長選や市町村議選が終わった。全国、県内ともに、なり手不足の事例と低投票率が目立ち、住民の政治に対する関心が下がっている傾向が改めて浮き彫りになった。
 身近な行政を考え、1票を投じる4年に1度の機会が形骸化すれば、行政の停滞や緩みにつながりかねない。各議会や政党、関係機関は、地方自治への無関心に歯止めをかける努力が一層、求められる。
 なり手不足は、人口減少と地域の疲弊が進む町村部で顕著だった。全国373あった町村議選は123が無投票になり、無投票当選者の割合は過去最高の30・3%だった。立候補者数が定数を下回る定数割れも、前回2019年の8から20に増えた。
 9町村議選(補選除く)が行われる県内も、15年は2、19年は1だった無投票は6に上り、このうち黒潮町は人口1万人を超える県内町村としては初の定数割れとなった。
 なり手不足は、立候補する層が限られていることが一因なのは間違いない。県内9町村議選の立候補者も計88人のうち30代は2人、40代は5人にとどまり、女性も10人のみだった。若者や女性の政治参加は、行政に多様な視点を反映させるという点からも急務だと言える。
 必ずしも新しい課題ではない。なり手不足は、大川村が17年、議会に代わる議決機関「村総会」の研究を打ち出して問題提起したことをきっかけに対策の検討が続いている。
 その結果として昨年、議員の兼業規制を緩和する制度改革が行われ、オンラインによる一般質問も条件付きで認められるようになった。また、夜間・休日議会を導入したり、性的ハラスメント防止に取り組んだりする事例も増えている。
 だが、まだ不十分だということだろう。国は、地方議会改革の動きを加速させる必要がある。政府の地方制度調査会は昨年、サラリーマンが兼務できるよう事業者向けの「立候補休暇制度」の創設を要請したが、その研究も本格化すべきだ。
 各自治体も議員報酬や定数などの条件を含めて、地域の実情に合った在り方を探っていかねばなるまい。
 今回の統一選は、軒並み低投票率に終わった。後半戦の全国平均の投票率は、市議選、町村長選、町村議選で最低を更新。県内の6市町村議選の投票率も、全て前回を下回って最低を更新した。
 新型コロナウイルス禍により、日常活動が制約された面があるかもしれないが、各議会は、住民との距離が開く一方の事実を重く受け止める必要がある。
 中でも高知市議選は34・85%で、有権者の3分の2近くが棄権した。二元代表制の一方を担う議会の正当性に関わってくるような水準だ。新議員は、これまでの議会活動を省みるべきだ。
 住民と直接対話する報告会や意見交換会を開いても、参加者が少ないという議会側の嘆きもある。有権者側も、地方自治をわが事として捉える意識改革が求められる。

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