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2023.04.22 08:00

小社会 九勝六敗

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 学生のころ、何度も見た映画に「麻雀放浪記」がある。原作の阿佐田哲也こと作家、故・色川武大は10代後半だった終戦直後に、自身もばくちで食べていた時期があったと書いている。

 すさんでいた時代。著書「うらおもて人生録」には、気分は「人間の懐中を狙う狩人」だったとある。鉄火場で目にした教訓だろうか。〈一生ツキ続ける男はいない。一生ツカない男も居ない〉。何か人生にも通じそうな言葉をさまざまな作品に残している。

 〈九勝六敗を狙え〉というのもある。自然に任せて勝つのもいいが、長く食べていくにはある程度の負けも受け入れる。禍福はあざなえる縄のごとし。実力以外の運にも総量があるということだろう。ばくちに勝っても健康を害し、人格を損なえば「大負け越しだ」。

 そんな自制心が働く人ばかりならいいが。政府がカジノを中心とする統合型リゾート施設(IR)として大阪府・市の整備計画を認定した。ギャンブル依存症の人が増えないか、心配が拭えない。地元の賛否も拮抗(きっこう)しているようだ。

 年間約2千万人の来場者を見込み、経済効果は近畿圏で1兆円を超えるとされる。ただ、コロナ禍で生活スタイルも変わって、皮算用通りいくかどうか。そもそも大負けした人の「懐中」が地域振興に回る是非もいわれる。

 いい想定ばかりではなく「六敗」、負の側面への目配りは足りているか。まだまだもやもや感は晴れない。

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