2023.04.20 08:00
小社会 穀雨に
県内では田植えが進み、畑で種まきなども続いている。数日おきに降る雨はまさに恵みの雨、めでたい雨。祖先はそんな光景を暦にも取り入れたのだろう。きょうは二十四節気の一つ「穀雨」である。
一雨ごとに山の幸も豊かになる。イタドリ、ワラビ、ゼンマイ、タケノコ。植物だけでなくカエルもにぎやかで、わが家の周りでは毎晩、大合唱している。里はみずみずしい初夏へ向かっている。
私たちはこの光景を守っていけるのだろうか。札幌市で開かれた先進7カ国(G7)気候・エネルギー・環境相会合は、気候変動対策として化石燃料使用の「段階的廃止を加速させる」ことで合意した。各国がより積極的な数値目標を求めたが、議長国の日本が尻込みし、進展しなかったとか。
それもそのはず日本は石炭火力発電に固執する。気温上昇を抑えるには2030年までの温室効果ガスの排出削減が重要とされており、専門家が、日本は「使命感が薄い」と指摘するのも当然だろう。
気候変動の影は穏やかに見える里にも。ことし、早くも茶摘みの声がかかった。40年以上やっていて、かつては大型連休が最盛期だったのに年々早まっている。10年後、20年後を想像するのが恐ろしい。