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2023.04.19 08:42

高知県内企業の採用 来春も積極姿勢 主要30社聞き取り 都会志向の再燃警戒

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県内75社と学生約150人が参加した会社説明会(3月、高知市内)

県内75社と学生約150人が参加した会社説明会(3月、高知市内)

 来春に向けた県内企業の採用活動が進んでいる。本紙が主要30企業・団体(製造10、非製造20)に聞き取ったところ、採用数を増やすとした6社を含め、9割が今春以上の採用を計画しており、アフターコロナを見据えた積極姿勢が一層鮮明になった。ただ、学生優位の売り手市場が続く上、コロナ禍の緩和で「都会志向」の再燃を感じるとの声も多く、各社とも魅力を懸命にアピールしている。

 採用活動は3月1日に解禁され、現在は会社説明会などが進む。近年は計画した採用数に届かなかった社も多く、「良い人がいれば何人でも」との声が多い。

 今春28人採用の技研製作所(高知市)は来春も30人で据え置くが、「優秀な人材なら40人、45人採っていい」と強調。6人を予定する工作機械の山崎技研(香美市)も「特に理系学生は取り合いだ」と現状を見立てる。

 土佐料理司(高知市)はコロナ禍の影響を受けてきたが、「今は人手不足。良い人がいれば計画よりも採る」と意欲的。物価高などで今春採用を見送ったひまわり乳業(南国市)も「今年は必ず」と意気込む。

 高知銀行(高知市)は退職者数などを考え、今春より10人多い50人を計画。ただ、採用担当者は危機感も示す。「コロナ禍で起きた地方回帰の流れが少し薄まった印象。Uターン希望者を強く吸収しないと」

 各社が警戒するのは、コロナ禍の緩和で学生の目が再び都会に向くことだ。

■賃上げアピール
 「いったい何が起きているのか…」

 建設大手の大旺新洋(高知市)の担当者は戸惑いを隠さない。今春は20人を計画したが、実績はその半数にも届かず、高校生は初の応募ゼロだったという。来春も20人を計画するが、「応募が少ない。売り手市場なのだと痛感する」。

 四国銀行(高知市)の担当者は「関東の合同説明会で参加者が集まらないこともある」と明かし、化粧品などの明星産商(南国市)も、「県外出身者を中心に都市部企業の内定を得ると辞退される。どう食い止めればいいか」と悩む。

 今春以降、大企業がけん引する形で賃上げの動きが加速。県内でもアピール材料にする社が目立ち、各担当者は「給与に加え、休日や福利厚生に関する質問が多い」と学生の興味に照準を合わせる。

 和建設(高知市)は「建設業は同業他社との人材獲得競争。大手は5%賃上げもあり、これ以上ひらくと同じ土俵に立てない」と賃上げを検討。機械製造の栄光工業(南国市)も「年間休日を増やす。数字を言うただけで学生にはじかれたら話にならん」とする。

■対面回帰も
 コロナ禍ではオンラインを活用した採用が浸透。今年はオンラインと対面の双方の良さを合わせたハイブリッド型が目立つ。

 鋳鉄用添加剤の東洋電化工業(高知市)は「採用の入り口はオンラインが主流になった。費用、時間の面で学生の負担が減るので今後も続ける」、絶縁紙のニッポン高度紙工業(同市)も「県外学生に広くアプローチしたい」とネットの間口の広さを強調する。

 技研製作所は「テレワークで通勤なしの働き方を進めており、今年も役員面接を含めて採用は全てオンラインで行う」とした。

 一方、四国銀行は「オンラインでの受験しやすさが腕試しの学生を呼び、内定辞退率の高さにつながっている」とし、1次面接は原則対面へと回帰。サンシャインチェーン本部(同市)も「業界研究不足によるミスマッチが起きないよう、今年から物流を学ぶ実践的な対面インターンを取り入れた」と説明した。

 あの手この手で続く「採用戦線」。欲しい人材の囲い込みが激化している。(報道部取材班)

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