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2023.04.18 08:00

小社会 ほとぼり

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 ほとぼりとは、冷めきらないで残っている余熱を意味する。辞典には「ほ(火)とほる(通)」が語源で、中世末から濁音形が現れたとある。現代では不祥事に対する世間の感情の余勢、事後の注目といった比喩的な使い方がなじみ深い。

 「ほとぼりが冷めた」と読み違えた人といえば、なぜか自民党の甘利明前幹事長が浮かぶ。7年前に政治とカネの疑惑で閣僚を辞任。説明責任を果たさないまま復権したが、一昨年の衆院選小選挙区で敗北した。世間の感情はそれほど甘くなかったらしい。

 先ごろ、札幌市の2030年冬季五輪招致が仕切り直しになると報じられた。東京五輪を巡る汚職、談合事件を受けて国内の機運が停滞。国際オリンピック委員会がスウェーデンなどに照準を切り替えたとみられるという。

 日本は無類の五輪好きといわれる国とはいえ、まあそうだろうなと思う流れだ。大会組織委員会の元理事が億単位の収賄の罪で起訴され、談合事件は400億円超の運営費が対象になったとされる。五輪好きに五輪不信が植え付けられた。

 地元経済界には34年開催を望む声もあるようだ。ただ、4年の先送りでほとぼりは冷めるかどうか。組織委は早々に解散し、責任はうやむやのまま。一広告代理店に委ねなければ運営できなかった体制の立て直しも見えてこない。

 ことの本質に火を通した上で教訓にするべきだろう。五輪不信の余熱もまた甘くはあるまい。

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