2023.04.14 08:00
小社会 対話型AIを前に
すぐに返答があった。「防災意識の向上」「地震対策の強化」など4点が400字ほどの文章にうまくまとめられていた。AIがネット上の膨大なデータを学び、自然な文章で回答する仕組みらしい。話題になるはずである。
もっとも、怪しさもある。高知県知事の名を問うと、「河野信子」だとする。大学卒業後に県庁に入り、幹部職を歴任。県議に転じて議長も務めた、とよどみなく答えるから開いた口がふさがらない。一体どこで得た誤情報だろうか。
偽りや偏見も入り交じっているのがネット。AIの優れた学習機能も、学ぶ情報が誤っていたり、公序良俗に反したりしていれば意味がない。ネット社会の課題はそのままAIの課題にもつながっているようだ。
そんな対話型ソフトを巡り、学業への利用を制限する大学が出ていると本紙に載っていた。便利でもAIに依存しては教育にならない。信頼性も難がある。学問の府の矜持(きょうじ)だろう。
対して岸田政権。国会答弁などへの活用を検討するという。職員の負担軽減のためらしいが、言論の府である国会をAI答弁がまかり通る場にするつもりだろうか。永田町や霞が関の矜持を問いたい。