2023.04.14 08:35
イタドリ狩りで古里応援 高知・中土佐町大野見北 地区出身者ら交流
思い出話に花を咲かせながら、ぽこんとイタドリを採る参加者(中土佐町大野見神母野)
ぽこん、ぽこん―。にょきにょきと林立したイタドリを手折る度にリズミカルな音が響く。「まあえい音。くせになる」。高知市から訪れた地区出身の山崎嘉代さん(81)とその友人ら80代女性4人の声も、自然と弾む。
山菜は主に山中に生えるものだが、10日に4人が収穫を体験したのは県道脇にある何の変哲もない畑。センターを運営する大野見北地区振興会が休耕田を活用し、2021年から栽培しているものだ。
「やぶの中みたいにバラ(いばら)がないし、平地なので楽。昔はバラに腰巻きが取られよったぞね」。昔話に花を咲かせ、ぽこぽこと収穫を楽しむ4人。30分ほどでコンテナ満杯、20キロほどが採れた。
センターが活動する大野見地域北部5集落は、人口265人、高齢化率63・02%。活性化に向けた取り組みの一つとして始めたのがイタドリの栽培だ。
畑は計1ヘクタールにまで増え、昨年は約1トンを収穫した。加工所で真空パックにして冷凍し、県外の飲食店向けに出荷するほか、県内の道の駅などでも販売。収益を活動資金に充てている。
栽培3年目で収量が安定してきた今年、初めて収穫体験を計画。振興会は毎年、寄付(1口5千円)や清掃活動の手伝い、まちおこしアイデアの提案など、さまざまな形で地区をサポートする地区出身者らを「応援隊」として募っており、そのメンバーに「やってみんかよ~」とチラシで呼びかけた。
この日は収穫したイタドリを加工所に運び、湯を張った大鍋で皮をはいだ。加工所は山崎さんが通った中学校跡にある。「昔は広いと思うたけど、いまは狭いね」と山崎さん。「たとえおばあちゃんになっても、古里はえいものですね」
ゆくゆくは観光農園化する構想も持ち上がっており、センターを支援する岡村知世さん(72)は「地区の高齢化がさらに進み、人々の体力がなくなってしまっても、収穫を楽しんで、手伝ってもらえたらうれしい。離れていても思い出してもらい、交流を生む場所にしたい」と願っていた。
今春は16日までに、40~80代の12人が収穫を体験する予定。(蒲原明佳)