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2023.04.05 08:00

【後半国会】問われる政権の「姿勢」

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 2023年度予算が成立し、通常国会が後半に入った。
 今国会には、原子力発電所の運転期間延長を可能にする法案など多くの重要法案が提出されている。防衛費増額に伴う増税方針や岸田文雄首相肝いりの「異次元の少子化対策」の論議も続いている。
 前半国会の岸田首相は説明を尽くしたとは言いがたい。特に財源を曖昧にしたり、後回しにしたりする姿勢は無責任と批判されて当然だ。将来、国の借金や国民負担が一段と膨らむ一因にもなりかねない。
 国民生活の将来を左右する法案や政治課題ばかりである。後半国会では正面から論議を深めてもらいたい。各党がしっかりと政府をただすとともに、政府には責任ある説明を求める。
 「原則40年、最長60年」とされてきた原発運転期間をさらに延長できるようにする法案は、丁寧な論議が欠かせない。
 原発は東京電力福島第1原発事故によって信頼を失い、事故から12年がたったいまも回復していない。それどころか、電力会社の不祥事が次々に明るみに出て、不信や疑問が募っている。
 にもかかわらず岸田政権は原子力の利用促進政策を取り、原発を60年以上稼働できるようにすることを目指す。しかも五つの関連法改正案を束ねて「GX(グリーントランスフォーメーション)脱炭素電源法案」とした。体のいい看板に仕立てた印象が拭えない。
 「異次元の少子化対策」は、少子化対策に本腰を入れなければならないという点では異論はない。だからこそ適切に財源を確保し、効果的な政策を打ち出す必要がある。
 ところが岸田首相は、子ども予算倍増を掲げたものの、財源や何をもって倍増なのか明確にしていない。倍増の大枠は6月の経済財政運営指針「骨太方針」までに示すと主張しているが、6月は会期末である。
 大幅に増強する防衛費の財源を巡っては、岸田首相は国民負担を求める考えを示している。
 まず国有財産の売却など税収以外の方法で資金をためる「防衛力強化資金」を創設。さらに「24年以降の適切な時期」に法人税と所得税、たばこ税を増税して財源を確保するという。
 だが、強化資金が十分確保できる保証はなく、増税幅が膨らむ恐れがある。そもそも政府が強化しようとする防衛力の形には、専守防衛を逸脱しないのかという疑問が残っている。政府は米国製巡航ミサイル「トマホーク」を海上自衛隊のイージス艦に導入。反撃能力(敵基地攻撃能力)を確保したい考えだ。
 政策と財源という点では、政府が使い道を決められる予備費の連発も問題がある。「国会を軽視している」と批判されても仕方がない。
 LGBTなど性的少数者への対応や、放送法の「政治的公平」に関する総務省文書なども議論が深まっていない状況だ。岸田政権の国会、国民への姿勢が問われる。

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