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2023.04.04 08:37

絵金の大作屏風発見 南国市の民家 長寿祝いの高砂図か、披露へ修理模索

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南国市内の民家で見つかった絵金作の六曲一隻の屏風(香南市赤岡町の絵金蔵)

南国市内の民家で見つかった絵金作の六曲一隻の屏風(香南市赤岡町の絵金蔵)

 幕末の絵師、絵金こと金蔵(1812~76年)が描いた六曲一隻の屏風(びょうぶ)が、南国市内の民家で見つかった。これまで二曲一隻の芝居絵屏風は多数見つかっているが、これほどの大作は初めて。香南市の絵金蔵の調査で判明し、絵金蔵は「かなり貴重な作品。修理して皆さんにお披露目したい」としている。

 絵金は、江戸で狩野派の画風を学び、土佐藩家老の御用絵師として活躍。33歳ごろ、贋作(がんさく)事件に巻き込まれて高知城下を追放されたが、その後も町絵師として多くの作品を残した。

 今回見つかったのは、縦約1・5メートル、横約2・9メートルの大作で、松の木の前で、熊手を持ったおじいさんとほうきを持ったおばあさんが立っている高砂図。生涯を通して使っていた「洞意」の落款がある。

 昨年3月、南国市の民家の蔵を片付けていた家主の60代女性が見つけた。「燃やそうと思っていた」そうだが、落款を見て、インターネットで調べると絵金の名前が出てきたため、絵金蔵に連絡、寄贈したという。

 絵金蔵は、県立美術館の初代館長で絵金に詳しい鍵岡正謹さん(80)=東京都=らと調査。長寿を祝うため個人的に絵師に注文する図柄で、人物や松の描き方が典型的な狩野派の運筆であり、気を出す亀などに絵金らしいユーモアも見られるため、本人の作品と判断したという。

 鍵岡さんは「芝居絵屏風以外の作品や文献が少ない中、六曲一隻の大作が初めて見つかったことに大きな意味がある」と評価。「ちゃんとした腕がないと描けない作品。出てきてくれ、ありがたい」と話した。

 ただ、屏風の一部がちぎれるなど損傷が激しく、絵金蔵はクラウドファンディングで修理代を募る。「より詳しい年代の特定などができるはずで、かなり見応えある作品になると思う」という。問い合わせは絵金蔵(0887・57・7117)へ。(深田恵衣)

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