2023.04.02 08:36
春風に身を任せ 桜ケ丘公園(芸西村)―土佐鳥瞰紀行(88)
麓から見上げた丘は、こんもりと春色に覆われていた。見頃を迎えたソメイヨシノを中心に大島桜など約2千本の桜が、暖かな陽光に輝いている。
もともとヤマザクラが多く自生していた土地ではあったが、古くからの名所というわけではない。
国が1988年から89年にかけて、全国の市区町村に1億円を交付した「ふるさと創生事業」を活用。村が山の谷を埋めて、公園を造成した。ソメイヨシノのほかにも、冬から初夏まで桜の花が楽しめるようにとカンヒザクラや八重桜などが植樹された。
満開の桜並木に導かれるように道を下ると、展望小屋に着いた。眼下に広がるビニールハウス群と太平洋がまぶしい。
気持ちよさそうにそよ風に身を任せていたのは、高知市から訪れた岡崎奈々さん(35)、生後11カ月の文音(あやね)ちゃん親子。岡崎さんは4月半ばに、仕事に復帰するそうで「娘と二人っきりの、かけがえのない時間を楽しんでいます」。抱き寄せた文音ちゃんの髪が春風に揺れた。(佐藤邦昭)