2023.04.01 08:42
笠間日動美術館(茨城)が奥谷博記念室開設 作風たどる21点紹介 高知県宿毛市出身、文化勲章の洋画家
笠間日動美術館に開設される「奥谷博記念室」(写真はいずれも茨城県笠間市)
「絵を描くのは生きること」と語る奥谷博さん
奥谷さんは、宿毛高校から東京芸術大学へ進み林武さんに師事、大胆で色鮮やかな具象画で知られる。2007年に文化功労者、17年には県出身者として牧野富太郎博士以来60年ぶり2人目の文化勲章を受章した。
笠間日動美術館は1972年開館で、モネやゴッホ、岸田劉生ら国内外の著名画家の作品を収蔵。東京・銀座の日動画廊社長で奥谷さんと親交が深い長谷川徳七館長(83)が「年代ごとに作風が変わり、力強く進化する奥谷さんの作品を多くの人に知ってもらいたい」と記念室を計画した。
約180平方メートルの室内は、「僕の作品は赤が多いので、絵が映えるように」という奥谷さんの希望で壁面を青に統一した。
開設当初は同館所蔵の約30点から21点を展示。東京芸大の入学試験に提出した「二十歳の自画像」(1955年)から、「底力」(2021年)まで各年代の作品を見ることができる。中でも、巨大なキャンバスに奈良・興福寺の鬼と渦潮を描いた「底力」は見る者を圧倒する。
31日には内覧会が開かれ、奥谷さんが約60人の関係者を前に「皆さんのお力添えで文化勲章を頂けたが、これからだと思っている。一つでも多くの作品を記念室に追加できるよう、座右の銘にしている『芸術無終』の心構えでやっていきたい」と話した。(浜崎達朗)