2023.03.30 08:37
クラウンパレス高知・松吉さん 28歳料理長、全国3位 精進続ける生来の料理好き「悔しい、次は優勝を」
全国大会で3位に入った松吉優料理長(高知市本町4丁目の「ザ クラウンパレス新阪急高知」)
メイン料理で仕上げた「鶏肉のバロティーヌとガーリック風味のラグースパイス香るソース」(松吉さん提供)
高知農業高からRKC調理製菓専門学校(高知市)で学んだ際、講師として訪れた同ホテルの川島豊・調理部長は松吉さんを覚えている。「料理に対して真剣で、周囲の学生とは姿勢が違っていた」。卒業後、同ホテルで7年修業。26歳で料理長に抜てきされた。
大会名は、フランス語で「金色のコック帽」を意味し、35歳以下を対象に開催される。今回は73人が出場し、松吉さんは四国予選で8人から1位を取り、2月27日に東京で開かれた19人での本選へと進んだ。
6時間で3品を調理する長丁場。一部食材は当日指定され、調理中は全て監視される。「ごみ箱の重さまで量られ、可食部は全て使わないと減点。台に水滴が少しでも残っていたら衛生面から減点…」。極度の緊張で倒れる参加者もいた。
地元食材の使用も義務付けられ、松吉さんはホテルで使う四万十町産の仁井田米を選んでリゾットに。メイン料理には、鶏の胸肉にレーズンなどを詰めた「バロティーヌ」や、もも肉の煮込み「ラグー」を仕上げていった。
だが、残り数分でトラブルが起きる。「皿の温度は50~60度と指定されていたが明らかに低い」。焦りを押し殺してオーブンで温めるが、上がりきらないまま料理を提出。それでも「調理が滑らかで、衛生意識も高い」と評価され、3位に入った。
閉会後は各地の料理人と連絡先を交換。大会で披露し合った調理の技法を共有しつつ、自分が任された厨房(ちゅうぼう)でさらに腕を磨く。「普段から優先順位をつけて調理してきたことが生きた。料理の全てが好き。いずれ料理オリンピックや世界大会にも出場したい」と意欲を新たにしている。(川田樹希)