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2023.03.28 08:40

競走馬脱走はAIで防止! 高知競馬が導入、県内の企業開発 

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開発された放馬検知システムの画面。馬が人に連れられているかどうかをAIが判断する(四国情報管理センター提供)

開発された放馬検知システムの画面。馬が人に連れられているかどうかをAIが判断する(四国情報管理センター提供)

 高知競馬場(高知市)に4月、馬が競馬場の外に脱走する事故を防ぐため、県内企業が開発した人工知能(AI)による検知システムが導入される。AIが監視カメラ画像を解析し、馬が人の手を離れた「放馬」の状態を素早く検知して脱走を防ぐ仕組み。県外では脱走した馬が原因の死亡事故も発生しており、対策は全国的な課題。開発企業は「実証実験では99%以上の精度で放馬を自動検知できた」という。

 高知競馬場には約650頭が所属。県競馬組合によると、馬が移動中に厩務(きゅうむ)員を振り切ったり、レースで騎手が落馬したりする「放馬」は月1、2件報告されているという。

 その際は場内10カ所の非常ボタンが押され、入場ゲートに常駐する警備員が鉄扉を閉める。ただ、関係者の出入りがあるため、常時閉鎖はできない。これまで脱走はないが、通報に時間がかかったり、深夜で人がいない場合は通報できなかったりと課題はあった。

 全国では、2013年に笠松競馬場(岐阜)を脱走した馬が車と接触するなどして死亡事故が発生。今年1月には姫路(兵庫)、2月には水沢(岩手)で馬が一般道に出る事例が起きている。

 導入されるシステムは四国情報管理センター(高知市)が県オープンイノベーションプラットフォーム事業で開発した。

 場内にある約400台の監視カメラから、40~50台を選んでAIが映像を解析。馬の周囲に人がおらず馬だけが動いている状態を放馬だと判断。警備員のいる部屋のランプが自動点灯して通報する。

 同センターは昨年11月から実証実験。カメラが検知用でなく、当初は天候にも左右され誤検知が多かったものの、AIが判断するカメラのエリアを調整するなどして精度を高めた。実際の運用では、通報を受けた警備員が映像を見て最終判断するという。導入費用は2750万円。

 中城一社長は「人が見ていても放馬を見逃すことはある。AIにより労力をかけずに、見逃しを極端に減らせる意義は大きい」。さらに「高齢者の徘徊(はいかい)や子どもの1人での出歩き防止にも応用できる」と話す。

 組合は「放馬に気づかないことが一番のリスク。構造的に他の競馬場より脱走のリスクは低いと思うが、取れる対策は全て取っていく」としている。(大山泰志)

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