2023.03.21 08:39
4人娘「本物」で育てる―高知(ここ)に住まう 第6部 食と暮らしのカタチ(1)
5人で囲む夕食は野菜中心でシンプル。時に「ふりかけ」も(高知市北部)
高知市中心部から北へ車で45分。鏡川の支流沿いからさらに山の細道を進むと、斜面が開ける。ニワトリが土をつつき、古民家の煙突から煙が上がる。
ポーランド出身のアリシア・カーンさん(42)と娘4人の住まい。夕食時。大きな窓から漏れた明かりが暗闇を照らしている。
「はーい。こんばんは」
木製の玄関を開けると、そこはキッチン。屋根や骨組み以外は手作りしたお気に入りの空間で、まきストーブが暖かい。カウンター式テーブルで子どもたちは宿題をしたり、本を読みふけったり。
「ごはんはできたけど、妹の宿題がまだ終わってないの…」。長女のマヤさん(15)が苦笑いでテーブルを片付ける。末っ子のアミリアちゃん(8)が鉛筆を手に「にっ」と笑った。
アリシアさん一家が暮らす山の家
料理はシンプルで、野菜を蒸し焼きにして煮出したスープが定番。昆布だしも使うし、自宅前の梅は梅干しに、ユズの季節は果汁を搾って冷凍する。みそも近所の友人に習って自作する。
この日はマーボー豆腐に五分づき米、産みたてのゆで卵。進学先のこと、学校のこと。話題の尽きない食卓が広がった。
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