2024年 04月30日(火)

現在
6時間後

こんにちはゲスト様

高知新聞PLUSの活用法

2023.03.20 08:00

【台湾空路就航】定期便実現の足がかりに

SHARE

 期間限定のチャーター便ながら、高知県にとって初めての国際線の定期空路である。大きく後れをとっているインバウンド(訪日客)観光のてこ入れにつなげたい。
 台湾と高知を結ぶ定期チャーター便の就航が決まった。台湾の格安航空会社(LCC)の「タイガーエア台湾」が5月から半年間、高知龍馬空港と台北近郊の桃園国際空港の間で運航させる。
 水、土曜日の週2便で、乗客は全て台湾からのツアー客となる。期間中に最大50便運航し、9千人が本県を訪れ、2億7千万円の経済波及効果が見込めるという。
 本県のインバウンド観光は低迷している。観光庁の統計では、新型コロナウイルス流行前の2019年の宿泊者数は約9万5千人で、都道府県別で最少だった。
 低迷は、県内に有名温泉がないなどの理由もあるが、やはり国際線の直通便がないことが大きいだろう。コロナ禍前、四国では高松空港にソウル、上海、台北、香港便が、松山空港にソウル、台北便があった。高知入りには両空港経由が最短で、アクセスの悪さは否めなかった。
 本県への海外クルーズ船の寄港は増えてはいたが、宿泊を伴わず、経済効果が限られるのが実情だ。国際線の定期便誘致は長く、県観光戦略の大きな目標であり、今回、実現にこぎつけた意義は大きい。
 台湾では、コロナ禍前まで国外旅行者数が増え続けており、県内の訪日客宿泊の国別シェアもトップだった。空路誘致に当たり、最も現実味のある国だったと言えよう。
 今回の便で訪日するツアー客は、3~4泊の日程で高知を中心に四国を周遊することが想定される。
 本県側は、継続的な訪日客の受け入れへ、まずは運航期間の延長、そして一般路線としての定期便化を目指すことになろう。タイガー社も定期便化を視野に入れているという。
 そのためには台湾側のニーズを的確に捉え、満足度を高める取り組みが欠かせない。観光資源の磨き上げとともに、キャッシュレスや多言語対応、通信環境など受け入れ基盤にも抜かりがあってはいけない。
 旅行商品の開発、セールスは一義的には台湾の旅行会社となるが、本県側も積極的なPRが求められる。高知の魅力を浸透させ、リピーター獲得につなげていきたい。
 統計によれば、台湾の訪日客は、日本食や自然・景勝地観光への期待が高い。高知県の強みを生かせる部分もあるのではないか。
 今回のチャーター便は、高知空港の拡張整備の在り方を探る上でも貴重な機会となる。
 高知空港には国際線に必要な出入国管理や検疫の施設がなく、今回は仮設施設で対応する。県は一度、国際線ターミナルの整備計画を作ったものの、コロナ禍で棚上げし、現在、整備方針を再検討中だ。本県のインバウンド需要が見極められれば施設規模なども固まってこよう。
 その意味でも、高知県の国際観光にとって重要な半年となる。

高知のニュース 社説

注目の記事

アクセスランキング

  • 24時間

  • 1週間

  • 1ヶ月