2023.03.13 08:40
吉本、プレーオフ激闘制し悲願「頑張ってきて、みんなに続けて良かった」―明治安田生命レディスゴルフ 最終日
プレーオフ2ホール目の18番、ピン奥10メートルのバーディーパットを決め、喜ぶ吉本ひかる。プロ7年目でツアー初優勝を果たす(土佐CC=佐藤邦昭撮影)
勝負を決めたプレーオフ2ホール目のグリーン。ピン奥10メートルのバーディートライ。プレーオフ1ホール目は緊張で体が動かず、3メートルのバーディーパットがショートした。
その反省から「今度はオーバーさせよう」。手打ちではなく背中で打つ意識を心掛けると、上りのフックライン通りに転がり、カップイン。瞬間、ピョンと跳びはね、笑顔をこぼした。それでも緊張感は解けなかった。ささきのパットを待つ間、肩を回して体をほぐす。ささきが終えたのを見届け、観客から祝福の大声援を受けると目元をそっと拭った。
最終日最終組が過去5度あるが、いずれも優勝を逃している。一昨年のシーズン途中からはスランプに陥り、悩み抜いた。その後のQT(最終予選会)38位で何とか昨季の出場権を手に入れたが、「もう優勝争いなんかできないかも。でも5年は頑張ってみよう」。
そんな苦しい時期があったからこそ、この日前半、スコアを伸ばせなくても「弱気にならず、諦めなかった。成長したなと思う」。そう言って再び大粒の涙を流した。
1998年度生まれ。畑岡奈紗、渋野日向子、勝みなみ、小祝さくらら「黄金世代」12人目の優勝。「(同い年の活躍は)ずっと刺激になっていた。頑張ってきて、みんなに続くことができて良かった」。「V逸」の呪縛を乗り越え、今、飛躍の時が訪れた。(柳原聖司)