2023.03.08 08:46
「自分らしさ」を大事に 善楽寺の住職・島田希保さん(39)―《県内先駆者 挑戦続く 4人の歩んだ道》3/8は国際女性デー
女性が極めて少ない仏教界。四国八十八カ所霊場30番札所の善楽寺(高知市一宮しなね2丁目)で住職を務める。県内16札所で初の女性住職だ。
「諸行無常。ずっと同じ風が流れることはない。どの世界も、時代に即して変わっていくのでは?」
土佐女子中時代に先代住職の父、信幸さん(77)に仏の道を説かれ、大正大学仏教学科に入学。当時は9割超が男子で、クラスに女子はほかに1人だけ。「その子の存在が大きかった。独りだったら途中でくじけていたかも」と振り返る。
皆で節をつけてお経を唱える声明(しょうみょう)の修行では、男性たちの低い音程に合わせられず悩んだ。
自分ではどうにもできない“壁”。「やっぱり私は女性のお坊さんなんだ。でも、できないことがあるならできることもあるはず」と考えるようになった。
高野山大学に進み、終末期医療の心のケアを修めた。多様な人に寄り添う実践を積んだことが、「僧侶として必要な心の軸」になったと言う。
26歳で善楽寺へ。2年後に住職に就いた。温かく見守ってくれる檀信徒(だんしんと)も多い一方、「いいお経だったが、お前は女だから」「女のくせに頑張るな」などの心ない言葉も浴びてきた。
「さみしく思ったり、怒りを感じたりすることもありましたが、(お勤めは)私がやりたくてやっていること。仏様は見てくれている。『私は私。ただ一生懸命やっていくだけ』。そんな境涯になりました」
所属宗派では、女性僧侶を育成する環境も徐々に整い、次世代も増えている。「性差はあって当たり前のもの。性差にとらわれず、意欲を持つ人が自分らしくのびのび活躍できることが大事。そういう方向へ向かっていると確信しています」と希望を抱く。
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