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2023.03.07 08:00

小社会 薄紅色のシクラメン

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 シクラメンといえば「薄紅色」だよな。そんな思い込みをもって「シクラメンのかほり」を聴き直してみれば歌詞には三つの色が出てくる。「真綿色」「うす紅色」「うす紫」の順に歌われる。出会って、愛が歩き始め、そして別れてゆく。そんな歌詞に呼応してシクラメンは色を変えていく。

 シクラメンという名は「学名」である。「学名」とは世界共通の名前だ。日本独自の呼び方もある。つまり「和名」をいえば「ブタノマンジュウ」となる。シクラメンの根を豚が食べることから、ともいわれる。〈うす紅色のブタノマンジュウほどまぶしいものはない〉と布施明さんも歌いたくはないはず。

 あの美しい花に、その和名はあんまりであろう。牧野富太郎博士もそう考えていた。東京の新宿御苑にシクラメンが咲いていた。博士に同行していた女性がシクラメンの花を見て「かがり火のよう」と漏らした。

 花の姿にかがり火を見た。美しい感性である。博士も心うたれたのだろう。和名を「カガリビバナ」に改めようと提案した。

 けれど、そのすてきな名前も世の中に浸透しなかった。「シクラメンのかほり」のような名曲も出てきた。学名サクラソウ科シクラメン属シクラメンは、日本でも「シクラメン」と呼ばれ続けるだろう。

 「カガリビバナ」を求めて生花店に行けば入荷時期はとっくに過ぎていた。〈疲れを知らない子供のように時が二人を追い越してゆく〉


3月7日のこよみ。
旧暦の2月16日に当たります。きのえ ね 七赤 大安。
日の出は6時28分、日の入りは18時07分。
月の出は17時52分、月の入りは6時28分、月齢は14.8です。
潮は大潮で、干潮は高知港標準で0時04分、潮位4センチと、12時15分、潮位48センチです。
満潮は6時30分、潮位159センチと、18時08分、潮位165センチです。

3月8日のこよみ。
旧暦の2月17日に当たります。きのと うし 八白 赤口。
日の出は6時26分、日の入りは18時08分。
月の出は18時50分、月の入りは6時55分、月齢は15.8です。
潮は大潮で、干潮は高知港標準で0時32分、潮位5センチと、12時41分、潮位39センチです。
満潮は6時50分、潮位163センチと、18時41分、潮位168センチです。

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