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2023.03.06 08:45

ロバート・キャンベルさんが高知宴席の魅力語る「おきゃくはセラピー、皿鉢は宇宙」、「dancyu」編集長、植野広生さんと対談 

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ロバート・キャンベルさんらがおきゃく文化について語ったトークイベント(高知市はりまや町1丁目の土佐料理司)

ロバート・キャンベルさんらがおきゃく文化について語ったトークイベント(高知市はりまや町1丁目の土佐料理司)

 高知のおきゃく文化を語り合うトークイベントが5日、高知市内の土佐料理店で開かれ、日本文学研究者のロバート・キャンベルさん(65)と食雑誌「dancyu」編集長、植野広生さん(60)が対談した。キャンベルさんは「皿鉢料理を囲めば、利害関係があっても、一回置いてつながり直せる。セラピーのような効果があり、ある意味で文学作品にも通じる」と土佐の宴席の魅力を語った。

 自由民権運動の文献調査や坂本龍馬に関する講演などで10回以上、来高しているキャンベルさん。植野さんから「おきゃくの印象は」と聞かれると、「夜は行く先々で宴席に招かれ、高知では午後5時までしか仕事ができないんです」と笑った。

 おきゃくの特徴について、参加者が席を頻繁に行き来する流動性や、全員がそろわなくても来た人から順番に飲み始める自由さを指摘。「そういうシャッフル性やフリーさから、新しい発想やひらめきが生まれる。SNS(交流サイト)だけでなく、人の顔色を見て交歓することは健康にとっても重要だ」と話した。

 キャンベルさんはこの日、4年ぶりに大橋通商店街で開かれた「南国土佐皿鉢祭」にも足を運んだと話し、「一つのお皿に宇宙がある。甘い物からしょっぱい物まで、秩序がないように見えて、緻密に並べられている。すごく好き」と力説した。

 初めて飛行機の窓から高知を見下ろしたとき、四国山地と太平洋に囲まれた土地が「まるで大きな一つのお皿に見えた」そうで、「その日の晩(のおきゃく)に皿鉢が出てきて『これだ』と思った」。「多様な人や物、潮流が流れ込む風土は他県にはない」と訴えた。

 一方、おきゃく文化に迫るドキュメンタリー映画を計画している植野さんは「おきゃくはただのうたげのスタイルではなく、もてなし、もてなされるという精神そのもの」と表現。「完成した映画を中央公園で上映しながら、みんなで大おきゃくを開くのが夢です」と語ると、会場から大きな拍手が送られた。

 トークイベントは、12日まで開催している「土佐の『おきゃく』2023」の一環。(新妻亮太)

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