2023.02.28 08:40
高校卒業式マスクなし多数、高知県内公立校あす３／１式典 受験控え一部「着用」も
マスク着用で行われた昨年の県立高の卒業式（高知市内）
県教委は国の方針を受けて１５日、各校に「状況を勘案した上で卒業式を適切に実施」するよう求める通知を出した。
「基本的な考え方」として、児童生徒や教職員は、入退場や式辞・祝辞、卒業証書授与、送辞・答辞を含め「式典を通じてマスクを外すことを基本とする」「参加人数の制限を不要」などとする一方、式典前後には「マスクを外して会話することがないよう指導を徹底」しつつ、「個人の考え方や判断を尊重」するよう求めている。
本紙が、分校をのぞく県立・市立の３４高校に問い合わせたところ、ほとんどが「通知通り」に外す方針と回答した。
ただし、卒業証書授与の際に「生徒と対面する。ノーマスクだと不安な子もいると思う」などの理由で校長は着用するとした学校や、「高校入試が３月６日に始まる。業務に支障が出ると困る」として教職員に着用を求める学校も複数。
追手前は「生徒の多くが大学受験中。人生を左右する大事な時期で、感染リスクを下げたい」と教職員には着用を求め、会場の密を避けるために「１年生は不参加にした」という。ほかにも在校生の出席を見合わせた学校が複数あった。
一方で、生徒に着用を求める学校もある。
安芸や高知西、丸の内など７校は「受験が終わっていない卒業生もいる」「卒業生、保護者が安心して臨める形を取りたい」「会場の体育館では十分な間隔が取れない」などとして判断したという。マスクは外す、としたある小規模校は「大規模校や進学校の校長なら、着用にしたと思う。いくら話をしないといってもコロナ、インフルの不安は増す」と判断への理解を示す。
また、７校とは別に「生徒には着用を推奨するが、外すのは自由」とする校長や、外す方針ながら「『マスクを着けてもいいんですね』という生徒もいる」と明かした校長もいた。
現状では、コロナの新規感染者数が減少傾向にある。とはいえ、ある校長は「コロナが５類に下げられるのは５月。それまでは警戒を続けなさいということ。卒業式の日だけ特別扱いというのは、今までやってきた対策はなんだったのか」。別の校長も「５類に下げ、マスクなしの生活が続いた上での卒業式なら、堂々とやれるのに」と不満を口にし、「文科省の対応は一貫性がない」と非難した。
式典終了後に、思い出の動画を上映する際には着用を促すという校長は「例年歓声が上がる。線引きが難しいですよね」と苦笑い。卒業生は、マスク着用を３年間強いられてきただけに、ある校長は「いまさら顔を見せるのが恥ずかしい、という生徒もいる。実際にマスクを外すかどうかは、ふたを開けてみないと分かりません」と話した。（加治屋隆文、新田祐也、加藤風花）
