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2023.02.21 08:40

四万十市・木戸さんの震災写真 芥川賞作の表紙に 佐藤厚志さん作「荒地の家族」の単行本

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「荒地の家族」単行本の表紙を飾った震災後の海辺の写真(宮城県七ケ浜町=木戸孝子さん提供

「荒地の家族」単行本の表紙を飾った震災後の海辺の写真(宮城県七ケ浜町=木戸孝子さん提供

 四万十市の写真家、木戸孝子さん(52)が東日本大震災の被災地を撮影した写真が、1月に刊行された佐藤厚志さんの芥川賞受賞作「荒地(あれち)の家族」の単行本の表紙を飾っている。同作は震災から10年以上たった宮城県沿岸部が舞台で、木戸さんは「被災地でつらい思いをしてきた人たちの心情を代弁したような作品。写真を使ってもらえてうれしいし、しっくりくる」と話している。

「夕日がきれいに見えた日だった」と撮影時を振り返る木戸孝子さん(四万十市具同)

「夕日がきれいに見えた日だった」と撮影時を振り返る木戸孝子さん(四万十市具同)

 木戸さんは大学卒業後に米・ニューヨークの写真学校などで学び、2009年から夫の故郷、仙台市で暮らした。11年3月11日の大震災では自宅も被害を受けたが4日後には沿岸部に赴き、昨秋四万十市にUターンするまで被災地の風景を撮影し続けてきた。

 今回表紙に採用されたのは、11年7月に宮城県七ケ浜(しちがはま)町で撮影し、21年に出した写真集「The Unseen」にも収めた1枚。津波の力で砂浜に埋まったコンテナの背後に、暮れ始めた空と海が広がっている。木戸さんは「気持ちえい風が吹いてきて、故郷高知の海を思い出した」と当時を振り返る。

 作品に目を付けた新潮社の装丁担当者には「大きなコンテナが砂に埋もれているエネルギーと、曇った空のシチュエーションが魅力的」と評された。表紙を見た多くの友人知人からも反響があったそうで、木戸さんは「主役はあくまで著者の佐藤さんですが、みんなが東北の被災地を気に掛けていることが分かってうれしかった」とほほ笑んだ。(河本真澄)

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