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2023.02.20 14:20

これぞ市民マラソン!くすっと笑える「こぼれ話」セレクション―高知龍馬マラソン2023

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「高知龍馬マラソン2023」が19日行われ、コースや沿道ではあまたの「迷ドラマ」「珍ドラマ」が生まれました。走った人も、応援に声をからした人も、みんなで楽しんだお祭りのような時間。市民マラソンの魅力がぎゅっと詰まったエピソードをたっぷりとご紹介します。

■酪農家に沿道から「頑張れ」「牛乳飲むで」

 両腕と両手に牛乳パックを付け、たすきには「酪農ヤバいです」。牛の着ぐるみ姿で走った佐川町の田村雄一さん(56)は「マラソンはきつい。でも酪農(の窮状)よりきつくなかった」。見事、完走を果たした。

両腕と両手に牛乳パックを付け、たすきには「酪農ヤバいです」

両腕と両手に牛乳パックを付け、たすきには「酪農ヤバいです」


 昨年11月、各地の畜産農家が農林水産省前で窮状を訴えたことを知り、自分も、と奮起。走りづらい格好で「後半はほぼ歩いた。PRとしては〝牛歩戦術〟で結果オーライ」。

 沿道から「酪農頑張れ」「牛乳飲むで」と声が掛かったそうで「涙が出そうなくらい感動した。ぜひ牛乳を飲んでもらいたい」と呼び掛けていた。

■悪魔のささやき

 高知市の花海道で、谷英樹さん(64)=高知市鴨部=が顔見知りのランナーに叫んでいた。「もうやめんかえ」「無理はいかんぜ」

「もうやめんかえ」「無理はいかんぜ」…リタイアを決め力が抜ける60代ランナー2人組(高知市春野町東諸木)

「もうやめんかえ」「無理はいかんぜ」…リタイアを決め力が抜ける60代ランナー2人組(高知市春野町東諸木)


 100キロマラソンも20回以上完走したというベテランだが「年取ると、体力がみるみる落ちていくがよ」。26キロ手前でリタイアを決めたという。隣に座るのは、最初に「見つけられた」という小松信幸さん(69)=香南市野市町。谷さんの「今年古希やろ。無理したらいかん」。そんな悪魔のささやきにレースを断念したそうで、2人は知った顔を見つける度に「この辺でやめちょこう」「やめろう、やめろう」と大声で声掛け。

 まだまだ走れそうにも見えますが…。「打ち上げで飲む体力、残しちょかんといかんろ?」

■青学ラブ
 青山学院大学の選手が通過するたび「ギャー」とお手製のうちわを振って応援していたのは、龍馬看護ふくし専門学校2年の松村心和さん(20)と高知農業高校3年の山中柚花(ゆず)さん(18)。陸上経験者の2人は「原晋監督の前向きな声掛け」「楽しみながら、頑張ってるチームの雰囲気」が好きで、この日は「高須から三里、春野へ車で追いかけてました」。

青学の選手を黄色い歓声で出迎え、うちわで応援(春野陸上競技場)

青学の選手を黄色い歓声で出迎え、うちわで応援(春野陸上競技場)


 ハートやキラキラのシールでデコレーションしたうちわには「尊い」「神」「一生ついていく」の文字も。〝推し〟は、大会に出場していない「若林君と大田君」だが「全員が好きなんで」と2人。ジャンプしながらうちわを振って声援を送り、ゴールした選手と抜かりなく記念撮影。「血が騒いだ」「一生の宝物にします」と大喜びだった。

■ティラノサウルス見事完走 正体は…
 ティラノサウルスの着ぐるみ姿=写真=で完走した、高知大学大学院生の西脇高峰(たかね)さん(29)=高知市=は「応援がすごくて、アイドルになった気分」と爽やかな笑顔を見せた。

スタート地点から注目を集めていたティラノサウルス

スタート地点から注目を集めていたティラノサウルス


 過去にもピカチュウなどのコスプレで出場。「久々の大会なので満を持して」全身をすっぽり覆う恐竜姿で走った。沿道の声援に気をよくして、道中は吹奏楽部の音楽に合わせて踊ったり、沿道にいた色違いの恐竜と戦ったり。

 ただ、「内部でファンは回していたけど、20キロぐらいから頭がふわふわしてました」。周囲に励まされ、制限時間の約10分前に滑り込みゴール。「次からは顔の出るコスプレに」との教訓を胸に刻んでいた。

■酒好きのアーニャ
 人気アニメ「SPY×FAMILY」のアーニャに扮(ふん)したのは神奈川県鎌倉市の4人=写真。そろってピンクの髪を風になびかせてゴールした。

かわいらしさ満点のアーニャたち

かわいらしさ満点のアーニャたち


 女性は増永京子さん(33)だけで、観客からは「かわいい」の声に交じって、悲鳴も聞こえたとか。

 男性3人は「ほんと、京子ちゃんがいてくれてよかったよぉ」と苦笑。アニメではピーナツ好きで知られるが、鎌倉のアーニャは酒好き。「きょうも飲みます。ピーナツじゃなくてカツオで」

■「ありさ、どこ?」

「どこ?」「どこながあ」「ありさぁ…」。高知市の沿道で、そうつぶやいていたのは4歳の小松茉奈(まな)ちゃんと中村凪翔(なぎ)ちゃん、3歳の中村叶鳳(とあ)ちゃん。

「ありさぁ…」「どこ?」とつぶやく3歳と4歳の怪獣たち

「ありさぁ…」「どこ?」とつぶやく3歳と4歳の怪獣たち


知人の「ありさ」さんの応援に駆け付けたものの、ランナーの多さに見つけることができず、「見えんかった」と寂しそうだった。

■夫婦ユーチューバー〝一緒に〟ゴール
 香南市の阿部快士さん(30)と亜梓さん(40)はユーチューバー夫婦。それぞれがカメラを手に自撮りをしながら走り、「高知の広告塔になりたい」と語った。

 ともに神奈川県出身。いくつもの大会に出場してきた快士さんの影響で亜梓さんも走り始め、2020年9月に「はやりに乗って」、動画チャンネル「あべ夫婦」を開設。マラソンの楽しみやトレーニングの様子を仲良く発信している。

動画チャンネル「あべ夫婦」を運営するユーチューバー夫妻

動画チャンネル「あべ夫婦」を運営するユーチューバー夫妻


 快士さんはリモートワークが可能な仕事に就いており、亜梓さんの「憧れの四万十川の近くに住みたい」という希望もあって、夫妻は21年11月末に四万十町に移住。亜梓さんは同町の地域おこし協力隊に加わり、観光などを担当するようになり、自分たちのチャンネルで同町の桜マラソンを走る姿や風景を紹介したり、「アラフォー女子の一人旅ランニング」と題して町内の遍路道を走る姿を披露したりしてきた。

 任期切れで2月に香南市に引っ越したが、この日のスタート前には同町時代の仲良しランナーと集って互いに気合を入れてからスタート。初の龍馬マラソンに挑んだ。

 ゴール後、快士さんは「これまで出た大会の中で、一番の応援を受けて感動した。次も絶対出たい」。亜梓さんも「人家のない場所でもここまで応援に来てくれるのかって。すごくうれしかった」と話した。2人は、そんな感動を伝える動画を後日配信するという。

(取材=森田千尋、玉置萌恵、浜田悠伽)

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