2024年 05月05日(日)

現在
6時間後

こんにちはゲスト様

2023.02.20 08:00

【欠席議員の懲罰】参院の議席の重みどこへ

SHARE

 国民の負託を受けた議席の重みを自覚しない行動が、特に参院選比例代表で当選した議員に目立つ。国民の政治不信の増幅と、参院不要論の再燃を危惧する。
 参院懲罰委員会で、国会欠席を続けるNHK党のガーシー(本名・東谷義和)議員への処分を巡る審議が続いている。
 参院議長が出席を求める「招状」を出したのは74年ぶり、欠席を理由とした懲罰委開催は初めてという異例の事態だ。今週、具体的な懲罰案を採決するという。
 芸能人らの裏側を暴露するユーチューバーとして知られるガーシー氏は、昨年7月の参院選比例代表で28万票余りを得て初当選した。「何か面白いことをやってくれるのでは」という期待、既成政治への批判票を集めたという見方がある。
 しかし、ガーシー氏はアラブ首長国連邦(UAE)などに滞在。当選後、一度も登院していない。
 国会法は議員に対し、召集日に国会に集まるよう義務付けている。議員が本会議や委員会の審議、意思決定に参加するのは職責の根幹だ。参加しないのであれば、既成政治への批判以前の問題といえる。
 NHK党側はオンラインによる国会出席も要望しているようだ。それも提案と審議を経て、ルールを確立してから実行するのが筋だろう。
 警視庁は動画投稿サイトで複数の著名人を中傷、脅迫したなどとして、暴力行為法違反などの疑いでガーシー氏の関係先を家宅捜索した。
 ガーシー氏は欠席理由を「帰国すると不当な罪を着せられる恐れがある」としている。ただ、国庫から歳費などを支給され、さまざまな特権も許された国会議員ならば、国民への説明責任も生じているはずだ。
 懲罰は重い順に除名、登院停止、議場での陳謝、戒告がある。各党は「有権者から選ばれた議員の身分は重い」として即時除名は避け、陳謝とする案が有力という。これにも応じないようなら、除名が視野に入るのは当然である。
 参院選比例代表を巡っては、質は異なるとはいえ、本県も関係する議席の「軽さ」が露呈している。
 比例で優先的に当選する「特定枠」が2019年に導入され、自民党は「合区」に候補を出せない県の救済に使ってきた。
 ところが、19年に特定枠で当選した三木亨氏が先月、徳島県知事選に立候補するため議員辞職。徳島・高知選挙区とは関係がない職域代表の人物が繰り上げ当選し、「救済」の意味を失っている。
 特定枠はもとより、合区への不満を高める対象県の批判をかわす弥縫(びほう)策である。自民党は取り繕いに終始せず、選挙制度の在り方の議論に正面から向き合うべきだろう。
 議席の重みを失墜させている責任は、議員本人と比例名簿に登載した政党にある。同時に、結果を左右する低投票率も含め当選させた側にもないだろうか。有権者の側も当選後の議員の行動をしっかりと監視し、次の選挙に生かしたい。

高知のニュース 社説

注目の記事

アクセスランキング

  • 24時間

  • 1週間

  • 1ヶ月