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2023.02.16 08:00

【県当初予算案】成果へ官民協働も重要だ

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 浜田省司知事の1期目の最終年度に当たる2023年度の県当初予算案が発表された。
 総額は前年度比0・7%減の4785億円。政策的・投資的な事業に限れば、就任以来「積極型」を続けてきた浜田県政の当初予算の中でも、最もその性格が濃くなった。
 新型コロナウイルス禍からの回復局面を迎える中、打つべき手を速やかに展開する必要がある。「攻め」に傾くのは当然だろう。1期目の任期満了までに、できるだけ取り組みを前進させたいとの思いが浜田知事にあってもおかしくない。
 懸案は財政状況だが、当局は「持続可能性を確保できている」とする。やりくりに加え、手厚い国の地方対策が背景にある。これらは時限的な面もあり、引き続き国に必要性を訴えていくことも重要だ。
 予算案について浜田知事は「徹底して成果にこだわった」とした。就任から3年を経て強調するのが、「成果」ではなく「成果にこだわる姿勢」であるところに、苦しさがのぞく。コロナ禍で動きが制約された。本紙の県民世論調査でも浜田県政の満足度は低くないが、コロナ対応以外の施策の印象は薄い。
 それでも、これまで仕込んできた施策には、新年度の取り組み次第で成否が決まるようなものも少なくない。だからこその「成果へのこだわり」だろう。その意味では勝負どころだとも言える。
 喫緊の課題でいえば、まずは感染症に対する継続的な備えと、物価高対策の着実な履行が重要だ。
 25年万博をにらんでロードマップが固まる関西戦略、NHK連続テレビ小説「らんまん」絡みの観光振興も、やるべきことは明確だ。ともに景気浮揚で即効性が期待できる。抜かりない対応を求めたい。
 課題解決や経済成長に向けた「デジタル化」、温暖化対策で重要性が増す「グリーン化」など、コロナ後をにらんで重点化してきた施策は、それぞれステップアップさせた。1次産業分野の個別施策などでは取り組みが形になりつつある。
 ただ、県民の共感を県政の推進力につなげるとして、知事が掲げる「共感と前進の好循環」には至っていないように見える。取り組みの可視化や発信も必要ではないか。
 構造的な課題である中山間対策では、担い手確保策などの拡充とともに「再興ビジョン」の策定を盛り込んだ。手詰まり感のある現状をどう打開するか。ビジョン作りが目的にならないようにしたい。
 最重要課題はやはり人口減少対策だろう。各分野で対応する形になっているが、本県の年間出生数は4千人割れ目前で、危機的水準だ。少子化対策の切り口を、より際立たせることも検討すべきだ。
 積極型の新年度予算だが、そもそも県ができるのは政策誘導などの環境づくりまでであり、主体は民間や市町村になる。結果を出すには対外的な協働が欠かせない。コロナ禍でそのつながりが弱まった面もある。機運醸成を図る必要もあろう。

高知のニュース 社説

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