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2023.02.08 08:00

【トルコ地震】人命優先の国際支援を

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 トルコ南部を震源とする大地震は、多くの人命が失われる甚大な被害が出ている。被災地では懸命の救助活動が続く。生存者の救出を急ぐとともに、被災者の支援に全力で取り組みたい。
 マグニチュード(M)7・8の地震が6日、トルコと隣国シリアを襲った。死者は計5千人を超え、2万人以上が負傷した。
 多数の建物が跡形もなく倒壊し道路などインフラも被害を受けた。がれきの下に多くの人が取り残されているとみられる。
 映像では、住民らが救助のためにがれきに登り、コンクリートをハンマーで砕きながら、手作業で破片を取り除いている。救出した人を板に乗せて運び出す様子や、幼児が救出当局者に抱きかかえられている姿も映し出される。
 余震が断続的に続き、救出作業を難航させている。新たにM7・5の地震も起きた。
 さらに、冬の厳しい寒さが被災地を襲う。雪が降る地域や、深夜には氷点下になる地域もある。救助の環境は困難を増し、生存率に関わる時間の制約ものしかかってくる。
 救出された人は恐怖を語り、「食料と水、毛布が必要だ」と訴えている。被害の拡大を食い止めなければならない。テントや医薬品など支援物資の搬送も急務となる。
 国連のグテレス事務総長は緊急支援を表明し、国際社会に援助を呼びかけた。各国は救助、医療チームを派遣するなど支援を相次いで打ち出している。
 日本政府が派遣した国際緊急援助隊・救急チームの先発隊がトルコに到着した。ウクライナも救助要員を送る用意を表明した。幅広い支援体制がつくられている。被害の大きさを物語る。それぞれの装備や技術を生かし被害の軽減を図ることが求められる。
 シリアでも多くの建物が崩壊し、多数の死傷者がでている。シリア内戦下で荒廃した地域が被災したことに各国の懸念は強い。シリアは国際社会に支援を要請した。ロシアが救助要員の派遣を決めるなど各国が支援に乗り出した。
 敵対関係にある国からも支援要請に応じる意向が表明されている。シリアが受け入れるかは不透明だが、国民の保護こそ最優先とすべきことだ。迅速な捜索と救助のために前向きに対処する姿勢が必要だ。
 被災地域であるシリア北部や北西部は、10年以上続く内戦で激しい戦闘が行われてきた。家を破壊され、避難民となっている人も多い。トルコから運ばれてきた食料や医薬品が交通網の寸断で滞る恐れがある。震災に対する十分な援助も行き届くのか不安視されている。
 経済が落ち込む中、アサド政権が反体制派の地域に支援を手厚く向けるとは考えにくい。もともと人道支援の必要性が指摘されていた地域だ。困窮が一段と深まることが想定される。人道危機を強めないために、国際社会が結束して支援を打ち出していく必要がある。

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