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2023.02.08 08:40

サクサク、ふっくら、あんこが絶品!大判焼き愛され創業100年 高知・宿毛の和菓子店「高橋金星堂」 秘伝レシピ、妻娘で継ぐ

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手作りのあんこをたっぷり入れた大判焼きを作る高橋節さん(写真はいずれも宿毛市中央6丁目)

手作りのあんこをたっぷり入れた大判焼きを作る高橋節さん(写真はいずれも宿毛市中央6丁目)

 高知県宿毛市で、地元住民に愛され続け創業100年を迎えた和菓子店がある。店主の高橋節(みさお)さん(80)が焼く大判焼きは「外はサクサクで中はふっくら」「甘過ぎないあんこが絶品」と人気で、50年以上通う人も。叔父と夫が作り上げ、一時途切れそうになった秘伝の味を今も守っている。

地元で愛される熱々の大判焼き

地元で愛される熱々の大判焼き

 昼間は人通りの少ない同市中央6丁目の商店街。正午過ぎ、その一角にある「高橋金星堂」で、大判焼きの機械に火が付いた。生地の上に2日前から仕込んだ特製のあんこをたっぷりのせ、火加減を見ながら丁寧に焼き上げていく。

 創業した父の三女として生まれた節さん。高校卒業後は大阪に出て働いていたが、24歳で三つ年上の登さんと結婚し、1960年半ばに故郷へ戻った。造船会社で働き、何事にもきっちりした性格だったという登さん。叔父の平さんから手ほどきを受け、均一に焼き上げる大判焼きは、地元で評判の味となり、いつしか愛されるようになった。

 だが、2000年の終わりに登さんを病魔が襲った。肺がんだと分かり、翌年に手術を受けたが、摘出できなかった。家族に告げられたのは「余命半年」。

秘伝のレシピを書き留めたノート

秘伝のレシピを書き留めたノート

 「現実を受け入れられなかった」という節さんを、当時東京にいた2人の娘が支えた。登さんを気遣って深刻な病状を伏せ、「いつまでも閉めていたらお客さんが困る。私たちが店を開ける」と奔走。大判焼きなどの作り方を一から聞き取った。今も節さんが大切にする小さなノートには、火入れからの手順や配合、かきまぜる速度まで細かく記されている。

 そのおかげで店は春に再開。7月に登さんが亡くなった後、しばらくしてから節さんが焼くようになった。それから20年以上…。甘さを抑えるなどアレンジを加えながら、商品づくりに努めてきた。

 近年は「体の節々が痛い」とこぼす節さんだが、「体の一部みたい」と愛着を持つ店を閉めようと思ったことはない。昨年、市役所が約3キロ離れた高台に移転し、人通りがさらに減ったというが、だからこそ「ここが開いていれば、少しは明るくなる」と話す。

 今日も節さんは大判焼きを求める客に「寒いね!」と快活に、励ますように手渡す。機械のそばにある写真の中の登さんに見守られながら。(坂本出)

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