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2023.01.14 08:00

小社会 山里を歩く

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 新春の青空を仰ぎ、山あいの集落を歩いた。急な山肌を縫う道を東から西へてくてく。国が地方に配る来年度の地方交付税が5年連続で増える、というので。

 南向きの斜面を陽光が照らし、陰地には昨年末の雪が残る。集落をつなぐ狭い道は車がほとんど通らず、人とも行き合わない。マスクを外すと、コロナ禍の生活が長くなった体に山里の澄んだ空気が染み入る。

 耕作が途絶え、草木に覆われた田畑跡があちこちに見える。丁寧に積み上げられた石垣がかつての農家の営みを伝えるのみだ。間伐も、枝打ちもされずに放置された戦後造林のスギやヒノキの林は暗い。太陽は真南に昇ったのに日が差し込まない。鳥も、獣も寄りつかない沈黙の森に寒々とする。

 「振興」「モデル事業」と書かれた建物が残る。国が昭和時代から推し進めた地方対策の象徴だろう。時の政権与党や首長の票集めにもつながってきた歴史を映す。

 政府は今になって食料の輸入依存を改め、国内自給率を高める方針にかじを切るという。地球温暖化の防止へ、森林が持つ機能の重要性の訴えも強める。その趣旨に異論はなくても、過疎で傷んだ山村の風景の前ではいまさらの「ご都合主義」にさえ聞こえる。

 岸田首相は「デジタル」が地方の暮らしを潤す魔法のつえのようにうたうが、実像はまだぼやけている。実を結ばないお金も、言葉のばらまきももう要らない。西日が差してきた。帰ろう。


1月14日のこよみ。
旧暦の12月23日に当たります。みずのえ さる 九紫 仏滅。
日の出は7時10分、日の入りは17時19分。
月の出は23時59分、月の入りは11時12分、月齢は21.7です。
潮は小潮で、干潮は高知港標準で3時56分、潮位40センチと、16時48分、潮位64センチです。
満潮は10時28分、潮位144センチと、22時37分、潮位120センチです。

1月15日のこよみ。
旧暦の12月24日に当たります。みずのと とり 一白 大安。
日の出は7時10分、日の入りは17時20分。
月の入りは11時39分、月齢は22.7です。
潮は小潮で、干潮は高知港標準で4時39分、潮位57センチと、17時56分、潮位57センチです。
満潮は11時09分、潮位141センチです。

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