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2023.01.09 08:00

【コロナ8波拡大】混乱回避へ対策の徹底を

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 新型コロナウイルス感染症の発生を中国が初公表して3年がたった。日本では行動制限のない年末年始を挟んで、感染防止と社会経済活動との両立を探る動きが進む。ただ、人の往来の活発化を受けて感染者数は増えるとする見方もある。感染対策の徹底が求められる。
 国内は流行「第8波」が続いている。オミクロン株の登場で重症化率は下がったとされるが、感染者数は大幅に増加した。高知県内も1日当たりの人数は高い水準にある。
 感染者の拡大に伴い、全国の死者数は昨年11月から急増した。12月は月間で第7波のピークだった8月を上回った。今月には1日当たりでも過去最多となった日がある。医療体制への負荷が増し、救急や一般医療への影響が懸念される。インフルエンザも流行入りした。
 一方で社会経済活動の再始動にも取り組む。10日には国内旅行を促す政府の全国旅行支援が再開する。新型コロナの水際対策緩和もあり、景況感が上向いた飲食や宿泊などの業績回復を後押しする。感染動向をにらんだ柔軟な対応が不可欠だ。
 海外に目を向けると、新型コロナとの共生へ向けて対策の緩和を進める国もある。街の映像にはマスク姿の人はおらず、日常を取り戻したような光景も映し出される。
 中国は感染の徹底した抑え込みを図ってきたが、対策を抜本的に緩和した。感染症分類を強制隔離の必要がないレベルへと引き下げて、海外から中国に入る際に義務付けている隔離も撤廃へと動いた。
 厳しい行動制限を課したゼロコロナ政策は、抗議活動で転換を迫られた。だが、外出制限の大幅な緩和に伴い各地で感染が急拡大している。医療崩壊の恐れが指摘される。国内外での大きな混乱につながった。
 中国政府は感染者の詳細な把握もやめている。感染症克服を印象付けて経済を回復軌道に乗せる思惑だろうが、かえって不信感を強めるだけだ。世界保健機関(WHO)は、新型コロナの死者の実態が過少報告されているとの認識を示す。
 日本は中国に限定した水際対策を強化した。中国本土からの直行便の到着空港を制限し、入国者全員に抗原検査をする臨時措置を始めた。米欧でも感染防止措置を強めている。新たな変異株の流入への警戒感があり、その抑制も重要となる。
 中国はこうした各国の動きを批判し、対抗措置を取る構えを見せている。だが、唐突な政策の転換が混乱を招いていることを真剣に受け止める必要がある。ゼロ政策の成果を自賛しても意味はない。
 日本では、感染症法上の分類を季節性インフルエンザと同じ5類に引き下げることが検討される。厳しい措置が減って医療受診が容易になるとの期待がある一方、治療費の公費負担をどうするのか課題も多い。
 そもそも、分類の引き下げが適当なのか、それを容認できる社会的な理解が進むのか。拙速を排除して、科学的な知見を重視しながら議論を重ねる必要がある。

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