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2023.01.08 08:00

【あす成人の日】若者の価値観を大切に

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 あす9日は「成人の日」。成人年齢は昨春、20歳から18歳に引き下げられており、新年を18歳で迎えた全国の112万人、県内の約5600人が大人の仲間入りをしたことになる。
 もっとも、記念式典はこれまで通り20歳を対象に開く市町村が多いようだ。県内も全市町村がそうで、「はたちのつどい」などと称して年明けから順次、開かれている。成人の一般的な認識は、まだ20歳の方が強いのだろう。
 どちらにせよ、若者の一つの大きな節目に違いない。これから長い人生を歩んでいく彼、彼女たちにエールを送りたい。
 1990年代後半から2000年代前半に生まれた世代は「Z世代」と呼ばれ、新成人も含まれる。
 この世代は、生まれた時からインターネットが普及し、デジタル技術や交流サイト(SNS)に親しんできた。国内外の情報に簡単にアクセスできたため、多様な価値観に理解があり、多様性や自分らしさを重視するのが特徴だ。
 経済的には、親世代がリーマン・ショックを経験したことなどで堅実な金銭感覚を持つとされる。長期の景気回復局面や売り手市場の中、雇用環境は以前より改善された。
 その結果、Z世代の価値観は「仕事よりプライベート」「出世より自分のやりたい事」「情より理」などの傾向がアンケートでも顕著だ。
 「今の若者は」と年長者が言うのは時代を問わず、その善しあしを論じたところで意味は薄い。重要なのは、こうした志向の若者が存分に能力を発揮できる環境をつくることではないか。人口減少と少子化が進む中、各分野の担い手不足が懸念されている。職場や地域社会で、特徴を踏まえた対応が求められる。
 一方、安定志向や自分らしさばかりが先立てば、なかなか閉塞(へいそく)感を打ち破れまい。高い志や行動力が必要なのもまた事実だ。
 「青春って、すごく密なので」。昨年、夏の甲子園で優勝した仙台育英高の須江航監督が、新型コロナウイルス禍で制約を強いられた高校生の思いを代弁し、多くの人の共感を呼んだ。今年の新成人にも当てはまる言葉だろう。
 須江監督は一方でこんな言葉も残している。「がまんを強いられた世代は、きっと多くのすごいことを成し遂げられる。大きな人生の花を咲かせられると思う」。新成人は可能性を秘めている。見守る周囲も念頭に置きたい。
 今年の成人の日に当たり、例年にも増して若い世代に求めたいのは、平和に対する意識だ。
 昨年2月、ロシアがウクライナに侵攻し、「戦争」が現実になった。ただ、昨夏の日本世論調査会の調査では、若年層の侵攻への関心度は、中高年層より10ポイント以上低かった。
 国際情勢が緊迫して、日本は防衛力強化へかじを切り、平和国家の在り方が問われている。平和をどう実現するのか、無責任ではいられない立場に差し掛かった。やはり、そのことを自覚してもらいたい。

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