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2023.01.03 08:00

【年初に 政治】「信頼と共感」得られるか

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 求心力のない内閣が、独り善がりで物事を決めていく。そんな政治が2023年も続くのだろうか。
 岸田内閣は支持率が低迷している。与党内から限界論も出る。普通なら推進力は衰えそうなものだが、昨年末、日本の将来を左右する重大な政策を相次いで方向付けた。
 支持率低迷の要因は、決めてはいけないものを勝手に決め、決めるべきものを速やかに決められない状況判断の甘さだろう。安倍晋三元首相の国葬や、閣僚更迭時の後手対応が象徴的だ。だが、そういう岸田文雄首相だからこそ、事の軽重に無頓着に突っ走れたようにも映る。
 批判に慣れ、開き直った面もあろう。「首相降ろし」を招きうる大型国政選挙が控えていないことも、大きな要素だ。
 しかし、熟議が必要なテーマがなし崩し的に決まるのは危うい。そのことを改めて認識するべきだ。
 首相は今も政権運営の基本に「信頼と共感」を掲げる。「官邸1強」でおごりが指摘された安倍、菅政権の反省からだろう。だが、すっかり色あせてしまった。幅広い議論、丁寧な合意形成といった民主主義の手続きを大切にしなければ、国民の「信頼と共感」は得られない。
 当面の焦点は、反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有や、予算増額と増税を決めた安全保障政策と、最大活用方針に転じた原発政策になる。
 防衛分野では、少なくとも反撃能力の発動要件を明確化すべきだ。あいまいなままでは、憲法に基づく「専守防衛」を侵すかどうかの判断もできない。できないのなら一度立ち止まるべきだ。
 野党は存在感が問われる。今後の国政選挙で政権選択の選択肢になることが大きな目標だろうが、まず政府、与党と渡り合える姿勢をしっかり示す必要がある。
 具体的な政治日程では、4月に統一地方選挙がある。自民党は、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係で厳しい目が向けられている。改めて説明を迫られよう。
 5月に広島市で開かれる先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)は今年最大の政治イベントになる。
 初の戦争被爆地での開催であり、地元出身の首相は核軍縮をライフワークとする。ロシアのウクライナ侵攻もある。平和への成果が求められるが、世界的に軍縮の機運は低い。首相には正念場となる。
 経済分野では、日銀が大規模な金融緩和策の修正に転じた。金利上昇に伴う景気、市場、財政への影響など対応が難しい局面が続く。日銀総裁人事と併せて焦点になる。
 「倍増」の道筋を付けるとした子育て財源をどう確保していくか。新型コロナウイルス対応で、ウィズコロナ社会にどう移行していくかも、大きなポイントとなるだろう。
 昨年も相次いだ「政治とカネ」の問題はいいかげんに絶つことだ。国会議員に支給されている調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の改革を進めることも、「信頼と共感」の最低条件になろう。

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