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2022.12.31 08:35

忠霊塔の塀を善意で修繕 いたずら被害の高知市・陸軍墓地 業者が組み直し、報道後に寄付も相次ぐ

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ブロック塀を修繕した北村尋之社長=左=と「忠霊塔を守る会」の石本健一さん(高知市朝倉丁)

ブロック塀を修繕した北村尋之社長=左=と「忠霊塔を守る会」の石本健一さん(高知市朝倉丁)


 今月上旬に何者かに倒されているのが見つかった朝倉陸軍墓地(高知市朝倉丁)の忠霊塔のブロック塀が、このほど修繕された。戦没者遺族の高齢化などで修繕のめどが立っていなかったが、被害を報じた本紙記事を読んだ人から「忠霊塔を守る会」代表の石本健一さん(94)に寄付の申し出が相次ぎ、同市内の石材業者が無償で修復した。

 石本さんによると、忠霊塔は昭和10年ごろの建立で太平洋戦争などの戦没者をしのんでいる。近くの朝倉中学校が平和学習に訪れ、地域の人と生徒が8月の終戦日などに清掃するなどしてきた。真珠湾攻撃から81年の節目となった今月8日、ブロック塀が倒されているのを住民が発見。塔を囲む高さ20センチ、幅40センチ、厚さ10センチほどのコンクリート製ブロック50個ほどが約20メートルにわたって地面や階段に散乱し、割れているものもあった。悪質ないたずらとみられる。

忠霊塔を囲むブロック塀が約20メートルにわたって倒されていた(高知市朝倉丁)

忠霊塔を囲むブロック塀が約20メートルにわたって倒されていた(高知市朝倉丁)


 11日付本紙で被害を報じて以降、石本さんの元には県内の個人や団体から「自分も親族を戦争で亡くしている。塔にまつられている方や遺族の方のことを思うといたたまれない」などと修繕費の寄付9件(計約29万円)が届いた。

 さらに、県内の2業者から無償で修繕したいとの申し出があり、石工房キタムラ(同市海老ノ丸)が担当することに。25~27日に同社の3人が割れたブロックを石材用接着剤でつなぎ合わせ、倒れていた約50個とその周囲のブロックをセメントで組み直した。

 親族を南方戦線で亡くしたという同社の北村尋之社長(75)は「これで20~30年は大丈夫。なんとか年内に修繕が終わって、まつられている方たちも安心して年が越せるでしょう」とほっとした表情を見せた。

 石本さんは「ありがたい。皆さんの善意のおかけで、御霊(みたま)も喜んでくれていると思う」と感謝しきり。遺骨などを納める忠霊塔の内部は雨漏りなど老朽化が進んでおり、「せっかくの寄付を無駄にしてはいけない。寄付の使い道や今後の忠霊塔の管理の仕方を地域の方々と一緒に考えていきたい」と話している。(加藤風花)

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