2022.12.29 15:29
りそな銀「信用回復へ必ず返す」 前社長が回顧、完済の原動力に
取材に応じる東和浩氏
りそな銀行に巨額の公的資金が投入され、実質国有化された「りそなショック」から2023年で20年になる。再建に尽力した前社長の東和浩氏(65)が取材に応じ「国のお金で成り立っている銀行は信用されない。必ず返す」との固い意志が、計画より3年早く公的資金を完済した原動力になったと振り返った。
03年5月6日。大型連休が終わり、東氏が出勤すると「社内は大騒ぎになっていた」。りそな銀の自己資本比率が、国内銀行の基準の4%を割り込むことが避けられず、経営破綻の瀬戸際に立たされたためだ。
不良債権処理などに関連して払い過ぎた税金が将来戻ってくると見込み、その分を「繰り延べ税金資産」として自己資本に計上する手法は「税効果会計」と呼ばれ、多くの銀行が採用していた。ところが当時の竹中平蔵金融担当相が運用厳格化を表明。これを受け、監査法人がりそな銀の自己資本に計上できる繰り延べ税金資産を圧縮したことが引き金だった。
政府は5月17日、初の金融危機対応会議を開き、りそな銀への公的資金投入と預金の全額保護を決定。投入額は1兆9600億円に上り、親会社のりそなホールディングス(HD)とともに国の管理下に置かれた。
東氏は財務部長を命じられ、不良債権処理と不要資産処分を急ぎ、04年3月期を最後に赤字決算と決別。18年度の計画だった公的資金完済を15年6月に達成した。
東氏は細谷氏から「目標を明確にしないと組織は動かない」と聞かされた。その教えを守り、りそなHD社長として公的資金の早期返済という明確な目標を立てた。「銀行をやめる」と言い切り、従来の銀行の枠を超えた事業を展開する必要性を訴えた。