2023.01.01 08:35
しんじょう君10周年、ゆる~く生きる☆ 歩みと「秘密」を紹介!
ファンから贈られたえとのウサギの衣装を身につけたしんじょう君(須崎市内)
高知県須崎市のキャラクター「しんじょう君」が4月に誕生10周年を迎える。浮き沈みの激しいご当地キャラ界にあって、その存在感は衰え知らず。「頑張らない」を信条に、ゆるーく残してきた大きな足跡を振り返る。(須崎支局・富尾和方)
【ほんの少しの 名場面集】
すべては「お魚祭り」から〈2013年4月28日〉
しんじょう君の初登場は2013年4月28日、須崎市大谷で開かれた「野見湾元気なお魚祭り」のステージ。その姿を見るやいなや、親子連れらが「かわいい!」と歓声を上げて取り囲んだ。以来、市内外の多くのイベントで盛り上げ役となり、関連グッズも続々。14年には「ご当地キャラクターまつりin須崎」が始まり、全国各地のゆるキャラと交流しつつ人気を高めていった。
さいこうの気分さ日本一〈2016年11月6日〉
16年11月6日、松山市で決選投票が行われた「ゆるキャラグランプリ」で、しんじょう君は日本一に輝いた。初出場の13年は14位、14、15年は4位。4回目の挑戦でつかんだ栄冠に県内外のファンが沸き返った。
優勝後は県が創設したキャラクター観光特使の第1号にも委嘱され、名実共に“高知の顔”になった。別のカワウソキャラと著作権を巡るトラブルも表面化したが、愛されっぷりは変わらず、ツイッターのフォロワー数は現在、12万人を誇っている。
きっと楽しいeスポーツ〈2019年5月26日〉
19年5月26日、しんじょう君は大阪市で開かれたeスポーツの普及イベントで「ゆるくない」ゲームの腕前を披露した。このほか音楽イベントでDJデビューするなど、近年は単なるマスコットにとどまらない新境地を切り開いている。
新型コロナウイルスの流行後は人前に出る機会が減ったものの、オンラインでの活動を活発化。20年4月には通販サイト「高知かわうそ市場」の店長に就任し、打撃を受けた事業者の支援に立ち上がった。
しんじょう君が大きな呼び水になっている須崎市のふるさと納税寄付額は21年度に19億4千万円と、14年度の200万円から実に970倍に膨らんでいる。
【しんじょう君の秘密】実は…、先代がいました
10年という節目の年を迎えたしんじょう君には、実は先代がいる。イラストがそれで、須崎市が21年前の2002年に作成。着ぐるみを制作して活躍の幅を広げるため、新たにゆるさを増して生まれたのが今のしんじょう君だ。とはいえ、先代もかわいいでしょ? その姿は現在も市内の各種看板などに残っている。
しんじょう君に新年の抱負を聞いた。
―正月はどう過ごす?
「年賀状を読みつつ、こたつでごろごろ、ゲームざんまい☆」
―今年の目標は?
「長生きと言い続けて10年。今年も長生き☆」
―ファンに一言。
「10年みんなと楽しくやってきたよー☆ 昨年は3年ぶりのキャラ祭りでみんなに会えてうれしかった☆ ぶれずにゆるく何となく高知や須崎を応援するよー☆」
ブームから文化に―しんじょう君を運営するパンクチュアルの社長で「通訳」も務める守時健さん(35)の話
しんじょう君が誕生した当時から「ゆるキャラブームは終わる」と言われていた。活動を続けられたのはファンの皆さんのおかげです。
ゆるキャラはもうブームではなく文化。地域に必要なのは情報発信とお金で、今後もしんじょう君とまちを豊かにしていきたい。
ただ、しんじょう君には、他のキャラに勝つとかいう目標はないんです。特産品や観光地などをしつこくPRもしない。元気ない、やる気ない、動かない。そういうゆるさが見る人を飽きさせない。これからも多くの人にその世界観を楽しんでほしい。