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2022.12.25 08:40

世界初「DMV」運行開始1年、乗客4万人超 高知ー徳島の阿佐海岸鉄道 観光施設へ波及課題

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DMVを撮影する観光客。沿線観光への波及効果が望まれる(7月、徳島県海陽町の阿波海南駅)

DMVを撮影する観光客。沿線観光への波及効果が望まれる(7月、徳島県海陽町の阿波海南駅)

 線路と道路の両方を走る、阿佐海岸鉄道のデュアル・モード・ビークル(DMV)が25日、営業運行開始から1年を迎えた。11月末までの乗客は4万603人と、鉄道時代の年平均2万3600人の倍近くに増加。一方、観光施設への波及効果は限定的で、乗車を契機にした地域への滞在、周遊をいかに促していくかが大きな課題となっている。

 徳島県次世代交通課によると、DMVの乗客数は月2千~4千人台で、夏休み期間の8月に最多の4544人を数えた。新型コロナウイルス流行前に設定した年間目標7万5千人には遠いものの、同課担当者は「全国から注目され、コロナ下でも勢いが衰えずに誘客できた」と手応えを話す。

 旅客収入も10月末時点で2788万円と、鉄道時代の年間640万円を大きく上回っており、導入前に年間6千~7千万円あった経常赤字は約1400万円圧縮される見通しだ。

 一方、2月と11月には車両が自動停止するトラブルで一時運休。8~9月は運転士のコロナ感染で減便を余儀なくされた。同課は「経営面から車両や人員は増やせないが、不具合には一つ一つ対処してDMVの技術を検証し世界に発信していきたい」とし、2年目の安定運行を期す。

 DMVを呼び水とした観光振興は、徳島県側でDMV乗車を組み入れたツアーの実施や沿線の観光パンフレット作成といった取り組みが進んだ。比べて本県側では県と安芸郡東洋町が施策などを協議する勉強会を実施し、龍馬パスポートの活用を阿佐鉄に打診したぐらいで動きは乏しかった。

 海の駅東洋町では、DMV導入後の年間レジ通過者数が導入前の年約15万人から1割程度増える見込み。また室戸市でDMVが運行する土日祝日に限ってみると、むろと廃校水族館と室戸世界ジオパークセンター、室戸ドルフィンセンターの施設利用者は2割前後増えている。ただ、いずれの施設関係者も「DMVの効果は限定的で、行動制限の緩和や全国旅行支援といった要因の方が大きい」と口をそろえる。

 沿線住民から「取り組みが遅すぎる」との苦言もある中、高知県と徳島県、両県南東部の14市町村は11月、「四国南東部広域観光連携協議会」を設立。DMVを活用した効果的な誘客や周遊促進策を探りだした。高知県地域観光課は「DMVは本県の重要な観光コンテンツと認識している。2025年の大阪・関西万博も見据え、関西からの誘客を進める上でも生かしていきたい」としている。(板垣篤志)

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