2024年 04月29日(月)

現在
6時間後

こんにちはゲスト様

高知新聞PLUSの活用法

2022.12.24 08:40

高知市が一面銀世界、県内交通網大きな乱れ  

SHARE

お城下に降りしきる雪。高知城の輪郭がけぶって見えた(23日午前7時20分ごろ)

お城下に降りしきる雪。高知城の輪郭がけぶって見えた(23日午前7時20分ごろ)


 高知市は23日、記録的な大雪に見舞われた。目覚めると、窓の向こうは南国土佐とは思えない銀世界。町を行き交う人々は「もう雪国やいか」。興奮と戸惑いの声が渦巻いた。
  
 午前9時、JR高知駅のタクシー乗り場には行列が。並んでいた高知高2年、小松拓斗さん(17)=香美市=は学校近くまで来て、休校を知ったそうで「帰ろうと思ったら汽車が動いてなくて。香美市の母の職場までタクシーで。いくらかかるがやろう…」と疲れた表情を見せた。

 駅ロータリーの縁石に、雪だるまをいくつも並べていたのは高知国際高1年の乾心晴さん(16)と志村香苗さん(15)。24日の吹奏楽の大会に向け、練習をしようと登校中に列車が高知駅でストップ。運行再開を待つ間に休校の連絡メールが届いた。「練習もできんし、野市の家にも帰れんし。大会があるといいな」と親の迎えを待った。

 路面電車を待っていた高知市のパート女性(63)は、雪で来られない同僚の代わりに急きょ出勤することになった。「愛宕で20分ほどバスを待ってたら、観月坂から歩いてきたっていう人が『バスは全然来んで』って教えてくれた。『もう足びっちょびちょ』って言ってました」

「雪合戦しよう」「でっかい雪だるま作る!」。校庭に積もった雪に子どもたちは大はしゃぎ(午前8時45分ごろ、高知市升形の第六小学校)

「雪合戦しよう」「でっかい雪だるま作る!」。校庭に積もった雪に子どもたちは大はしゃぎ(午前8時45分ごろ、高知市升形の第六小学校)

 街角には無数の雪だるまが並び、スタッフが集まらず早じまいする店も。人々が帰路につく夕方になっても雪は降り続いた。

 帯屋町アーケード街を歩いていた公務員の男性(40)は、自宅の種崎から「朝はバスで出勤したけど、普段の倍の1時間くらいかかって遅刻。バスが運休したのでタクシーで帰ります」。高知城近くでバスを待っていたホテル清掃員、佐渡遥香さん(26)は「ええっ、バス止まってるんですか」。24日も仕事があり「近くのホテルに泊まりたいけど、飼っているフェレットに餌をやらないと」と足早に電停に向かった。(報道部取材班)

 事故144件「スリップ注意」

雪の影響で23日、高知県内の道路網や交通機関は大きく乱れた。

 高知自動車道は南国インターチェンジ(IC)以西が午前7時から通行止めに。伊野ICまでは夕方にいったん解除されたが、夜に再び止められた。24日の全通は未定という。高知南国道路も午前6時前から通行止めとなり、国道33号なども高岡郡越知町などで通れない状態が続いている。

 高速バスは広島便が全便運休し、松山便が一部運休。とさでん交通は、午前8時以降の路線バスや空港連絡バスを運休した。

 JR四国は強風のため瀬戸大橋線をほぼ終日運休とし、特急南風は高知―多度津間での運行に。土讃線は夕方から高知―窪川間の普通列車を運休するなどし、土佐くろしお鉄道は午後の特急列車を運休した。各社は24日早朝の便を一部運休する。

 空の便は、福岡線の上下1便ずつが欠航した。

 高知県警によると、午前6時~午後5時に雪の影響とみられる人身事故9件、物損事故135件(うち高速道路3件)の通報があった。ほとんどがスリップ事故で高知市や土佐市、吾川郡に集中。重大な事故はないという。県警は「路面がぬれているように見えて凍結していることもある」と呼び掛け。県警ホームページで雪上や凍結路の注意点などを発信している。 (浜田悠伽、馬場隼)

 国道56号で100台立ち往生、土佐―須崎市「まさか高知で」の声

 23日午前、土佐市鷹ノ巣から須崎市吾井郷にかけての国道56号で、大雪によって約100台の車が一時立ち往生した。午後6時半過ぎに車の滞留は解消されたが、足止めをくらった運転手らは「まさか高知で雪の立ち往生とは」と疲れ切った表情を浮かべた。

トラックや自家用車など最大約100台が立ち往生した国道56号(午後4時ごろ、土佐市市野々)

トラックや自家用車など最大約100台が立ち往生した国道56号(午後4時ごろ、土佐市市野々)

 国土交通省土佐国道事務所などによると、同日午前9時30分ごろ、吾井郷で大型トレーラーがスリップ。片側1車線の国道をふさぎ、後続車も身動きが取れなくなった。積雪や路面凍結によって周辺の約6キロは、午前10時から通行止めが続いている。

 車内で6時間以上待機したトラック運転手の50代男性は「県内で20年以上走りゆうけど、こんなこと初めて」。須崎市の20代男性は「立ち往生のニュースは県外で目にするけど、まさか高知で…」、30代女性も「喉も渇いておなかもすいた」。同事務所は車内で待機する人に菓子パンやお茶を配って歩いた。

国道33号の坂道を上がれなくなる車が続発。車を押して救出を図る佐川署員 (午後4時50分ごろ、佐川町加茂)

国道33号の坂道を上がれなくなる車が続発。車を押して救出を図る佐川署員 (午後4時50分ごろ、佐川町加茂)

 津野町の70代男性は高知市内に入院中の弟を見舞って自宅へ帰る途中だといい、「高速も止まって、どうしたらえいがじゃ…。以前に脳梗塞をやって体がしんどいけんど、今晩は車で寝る。ガソリンを入れてくる」と引き返した。

 国道33号も大雪に見舞われ、高岡郡越知町などでも通行止めに。同町内で旅館を営む谷脇史洋さん(55)は「越知でこんな大雪は初めて。越知から高知市に帰れんなった7、8人から飛び込みで予約が入った。ここまでひどくなるとは…」と話し、旅館前の雪かきに追われていた。(谷川剛章、楠瀬健太)

高知のニュース 高知市 土佐市 須崎市 季節・気候 道路・交通

注目の記事

アクセスランキング

  • 24時間

  • 1週間

  • 1ヶ月