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2022.12.24 08:40

高知県四万十町十和の昔野菜、企業が継承  生産・販促 農家減救う 東京のバイヤーとも取引 

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昔野菜を収穫したしまんと流域野菜の斉藤香織社長(前列中央)と、種を守り続けている(2列目右から)川上久恵さん、竹内稲穂さんら=四万十町小野

昔野菜を収穫したしまんと流域野菜の斉藤香織社長(前列中央)と、種を守り続けている(2列目右から)川上久恵さん、竹内稲穂さんら=四万十町小野

掘り出された在来種の大根とカブ

掘り出された在来種の大根とカブ

 高岡郡四万十町十和地域で、高齢化により栽培農家が減った昔野菜を守ろうと、地元企業が新たに生産と販路開拓に乗り出している。生産量はまだ少ないものの、東京の著名な野菜バイヤーが取り扱うことも決まり、種を守り続けてきた農家の女性たちは「伝統野菜がこの先も継承されればうれしい」と喜んでいる。

 昔野菜は、愛媛県境に近い同町大道(おおどう)地区に伝わる在来種の大根やカブ、高菜、枝豆など。集落の女性らでつくる奥大道加工グループが交雑や改良を避け、種を取って受け継いできた。

 ただ、15年ほど前に10人いたメンバーは現在、竹内稲穂さん(78)と川上久恵さん(80)の2人だけ。近年は地元の昭和、十川両小学校が食育の一環で栽培と販売に取り組んでいるものの、継承が危ぶまれる状況となっていた。

 そんな中、担い手に名乗りを上げたのが十和地域で無農薬栽培などに取り組むしまんと流域野菜(広瀬)。竹内さんらから種を譲り受け、9月に自社農地のうち3アールで大根とカブ、高菜の栽培を始めた。

 大根は歯ごたえがあって煮崩れしにくく、カブは「煮物にする際に砂糖がいらない」と言われるほどの甘みが特徴。いずれも酢漬けにも向いているという。

 同社の斉藤香織社長(49)は県内外の販路を模索。商談会などを通じ、「愛の野菜伝道師」として全国各地で野菜の発掘と販売拡大に取り組む小堀夏佳さんにアピールしたところ、12月から通販商品に採用されることになった。また高知市の城西館が年末年始のメニューで提供することも決まり、徐々に足掛かりをつかんでいる。

 竹内さんと川上さんは「グループで町外に売り込もうとしたこともあるが、うまくいかなかった。うれしい話」と期待。斉藤社長も需要に応じて生産を増やしていく構えで、「独特な味がする貴重な野菜を受け継ぎ、全国の人に食べてもらいたい」と意欲を燃やしている。

 同社は昔野菜を含む詰め合わせの一般向け販売も行っている。問い合わせは斉藤社長(090・2625・8370)へ。(小林司)

高知のニュース 四万十町 農業

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