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2022.12.20 08:38

高知・日高村、スマホ普及15%増 「100%事業」効果 70代40%→70%

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日高村で開催されているスマホの扱い方を学ぶ教室(同村本郷の村立図書館「ほしのおか」)

日高村で開催されているスマホの扱い方を学ぶ教室(同村本郷の村立図書館「ほしのおか」)

 住民のスマートフォン普及率100%を目指して高知県高岡郡日高村の「村まるごとデジタル化事業」が効果を上げている。村の調査によると、1年間で普及率を15%ほど押し上げ、約80%に。事業の大きなテーマだった高齢世代への普及も大幅に進んだ。

 同村は行政手続きのデジタル化などが進む中で、高齢者らスマホ未利用者が取り残されないよう、携帯通信大手のKDDI(au)などと連携し、昨年6月に事業を開始。同社が出張販売所を設け、村はスマホ切り替え経費のほぼ全額を地域通貨で補塡(ほてん)。昨秋には村保健センター内にスマホよろず相談所を開設し、各地で教室も開催してきた。

 村が今夏実施した全1719世帯アンケート(回答率43%)によると、事業前に約64%だったスマホ普及率が79・7%に上昇した。年齢別では60代が69%から90%、70代が40%から70%、80代も11%から33%にいずれも増加。スマホ所有が難しい0~9歳の子どもや介護度が高い人を差し引いた実質普及率は86%となった。

 同村のスマホアドバイザー、渡辺栄美子さん(55)によると、よろず相談所には現在も月間100人超が訪れる。週1回の教室に通う高齢者たちも次第に上達し「最初は電源の入れ方から教えよったのに、今はネット通販ができるまでになった」。能津地区の女性(90)は娘とLINE(ライン)のやりとりを楽しんだ。

 事業を発案した村企画課の安岡周総(まさふさ)さん(36)は「普及を積極的に進める段階は来年度まで。今後はスマホを活用して住民のQOL(生活の質)を向上させることが重要になる」と展望する。同村は現在、住民の意見を聞きながら健康増進アプリを開発中だ。

 また、スマホ普及のノウハウをほかの自治体に伝えていくことも想定している。「購入支援などだけでは失敗する」と安岡さん。スマホで災害情報などを取得できれば、村全戸のIP告知端末維持費を将来的に社会保障費に回せるなどと「泥くさく」説明したことを挙げ、「持ってみたいと思ってもらえるような情報を伝えてきた」と〝事業成功〟の秘訣(ひけつ)を話す。

 同村は20日、県や高知大学、県外の民間企業とデジタル格差解消の仕組みづくりに向けた協定を締結する。安岡さんは「デジタル格差の解消は社会課題で、ほかの自治体も同じように困っている。ノウハウを、横にも広げていきたい」と話している。(楠瀬健太)

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