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2022.12.14 08:35

追手筋の老舗バー「タイム」45年の歴史に幕 常連客「さみしいね」―やいろ鳥

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常連客と談笑する「time」の江川朋子さん(高知市追手筋1丁目)

常連客と談笑する「time」の江川朋子さん(高知市追手筋1丁目)


 「晩酌の場所がなくなるとさみしいね」「家でくつろいで飲みゆう感じやったもん」。そう語る常連客に「とんこ」こと、江川朋子さん(77)が「お参り先が一つ減って良かったと思うちゅうろ」と毒づき、笑いが起きた。老舗のバー「time(タイム)」(高知市追手筋1丁目)が30日、45年の歴史に幕を下ろす。

 「時の流れと人との出会いを永遠に大事に」。そんな願いを込めて店を始めたのは1977年のこと。「バーのはしりやった。高知で一番おしゃれやったと思うぜ」。店は今の隣のビルにあり、若者を中心に人気を呼んだ。週末は身動きが取れないほどで、アルバイトを5人雇ってもてんてこ舞い。開店資金の3千万円を3年で返済したほどだったという。ちなみに、珍しかった中2階にはテーブルがあり「客が寝もって飲みよった。忘れて置いて帰ったこともある」とか。

 有名人も足を運んだ。「(はら)たいらさんは高知に帰ってきたら寄ってくれた」。5日ほど煮込んだ店のカレーがお気に入りで、事前に連絡が来た。

 開店当初から通い続ける男性(63)は「とんこはきっぷが良くて、面倒見がいい」。四半世紀前に東京に居酒屋を出した際には「『私が行っちゃう』って。50人くらいを連れてきて大宴会。すっごい助かった」と振り返る。

 今は1人で切り盛り。新型コロナ下で客足が遠のいたこともあり、「もう年やし」と店じまいを決めた。

 気付けば45年。「流れに身を任せてやってきただけよ」とさらり。「先輩に連れられて来た新入社員が、今は会長や社長をやりゆう。お客さんに恵まれ、同じ時代を過ごさせてもらえたことが宝物やね」としみじみ語る。

 閉店の知らせを聞き、懐かしい常連客が姿を見せてくれているという。今日もカランと扉が開いた。

 「とんこー、まだやりゆうかよ」(報道部・加治屋隆文)

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