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2022.12.13 08:00

小社会 悲嘆を生きる

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 「遺族の心境は、複雑です。遺族それぞれに、傷の深さと角度が異なります」。昨年12月の大阪ビル放火事件。次男を亡くした高知市の池田康友さんが本紙に寄せた手記に書いている。まさにその通りだろう。あれから1年近くになり、ようやく康友さんは息子のことを公に語り始めることができるようになった。けれど母である妻は「そっとしておいてほしい」と願っている。

 時間の流れは悲嘆を少しでも和らげてくれるのだろうか。葬儀、初七日、四十九日、初盆…弔いの行事を重ねていくたび、康友さんは息子の悔しさや絶望を具体的に考えるようになったという。

 「悲しみの秘義」という本がある。悲しみへの向き合い方について宮沢賢治、須賀敦子、神谷美恵子、小林秀雄、リルケらの文章を引用しながら読み解くものである。筆者の若松英輔さんもまた妻を病で失った悲嘆を生きてきた。

 若松さんの「秘義」とは、「書く」ということである。自分の思いを書くのではなく、書くことによって自分が何を思っているのかを発見するのだ。

 恋人を突然失った神谷は自らの思いを重ねてイギリスの詩人テニスンの言葉を訳した。〈愛し、そして喪(うしな)ったということは、いちども愛したことがないよりも、よいことなのだ〉

 悲しみの涙はとどまることもなく心の中を流れ続けるだろう。しかし死者が、愛した生者を落胆させるばかりの存在であることを望むはずがない。


12月13日のこよみ。
旧暦の11月20日に当たります。かのえ ね 六白 赤口。
日の出は7時01分、日の入りは16時59分。
月の出は21時20分、月の入りは10時52分、月齢は19.2です。
潮は中潮で、干潮は高知港標準で2時32分、潮位18センチと、14時45分、潮位95センチです。
満潮は9時24分、潮位151センチと、20時07分、潮位147センチです。

12月14日のこよみ。
旧暦の11月21日に当たります。かのと うし 五黄 先勝。
日の出は7時02分、日の入りは16時59分。
月の出は22時17分、月の入りは11時24分、月齢は20.2です。
潮は中潮で、干潮は高知港標準で3時10分、潮位28センチと、15時34分、潮位96センチです。
満潮は10時06分、潮位146センチと、20時51分、潮位136センチです。

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