2022.12.08 08:40
県JA子会社が解散へ 日高村でトマト生産 収支悪化で負債約2億円
アグリ社は、合併前のJAコスモスが2千万円を出資して設立。次世代型ハウス(120アール)などで大玉トマトやシュガートマトを生産し、JAを通じて販売するほか、研修用ハウス(11アール)で新規就農の移住者らを受け入れてきた。
JA高知県によると、当初から人手を確保できず、作業遅れからカビなどの病気が発生。17年度の収量は目標278トンの38%、18年度は目標321トンの66%にとどまり、18年度決算で2億5203万円の赤字を計上した。
同JAは再建のため19年度に6千万円を増資し、21年度は230万円の黒字になった。しかし今春、大玉トマトに病気が発生して壊滅状態となり、アグリ社は研修用ハウス以外の事業を停止。このため、運転資金の融資に必要な栽培面積を満たせなくなり、9月末に「事実上の倒産状態」に陥ったという。
8月末に3人いた社員を解雇し、約25人のパートも契約更新せず、現在はハウスなど施設を貸し出す先を探している。総代会で解散が決議されれば特別清算に入るが、貸出先が見つからなければ県や国への補助金返還や施設解体費が必要になり、最終損失が4億7千万円を超す恐れがあるという。
秦泉寺雅一組合長は取材に、「地域農業の振興のため子会社の再建に取り組んできたが、栽培技術が追いつかず、病気の発生もあり見通しが立たなくなった。関係者に心よりおわびしたい」とした。(蒲原明佳)