2022.11.27 08:36
農協の採用に落ちた―村を作りかえたごっくん男 馬路村農協前組合長 東谷望史物語(9)
サークル「つのころ」の旗を持つ東谷さん
「親父(おやじ)から連絡があったがよ。『農協が人を募集しゆき、もんてこんか』と」
決断は早かった。
「悩まん。すぐ決めた。僕、この村で一生暮らしたいと思いよったがよ」
本当はあとで少し後悔した。東谷さんは「時代を読み間違うた」と明かす。
「中学のとき、先生がアメリカの話をしてくれて。アメリカに行くには何十万円もかかると言われて。『自分らの時代にはアメリカに行くことはないなあ』と思うてしもうて」
東谷さんが小学校高学年のとき、のちに作家となる小田実の「何でも見てやろう」がベストセラーとなる。当時はまだ観光で海外に行くことは認められていなかった。だからこそ、海外旅行記として多くの若者の心をつかんだ。…