2024年 04月29日(月)

現在
6時間後

こんにちはゲスト様

高知新聞PLUSの活用法

2022.11.21 08:00

【参院選改革】本質的な論議と向き合え

SHARE

 国会各党は参院の在り方を問い直す本質的な改革論議をこれ以上、先送りしてはならない。
 「1票の格差」が最大3・03倍だった7月の参院選を巡る全国の高裁・高裁支部の一審判決が出そろった。「違憲」は1件で「違憲状態」が8件。「合憲」は前回2019年の選挙から半減して7件となった。
 参院選の1票の格差については、4・77倍だった13年選挙の一審判決で合憲がゼロになった。最高裁も違憲状態と判断。都道府県単位の選挙区を見直すべきだと迫り、合区導入の契機となった流れがある。
 「鳥取・島根」「徳島・高知」の2合区が導入された16年選挙では格差が3・08倍に縮小した。しかし、その後の格差はほぼ横ばいで推移。さらなる縮小に向けた動きが鈍い国会に対し、司法が再び厳しい視線を向け始めたということになる。
 1票の格差是正は、憲法の「法の下の平等」が求める投票価値の平等に基づく。それは民主主義の根幹をなす選挙制度の大前提である。
 ただ、改革論議が滞ってきた国会に対して、本県など合区対象県は別の視点から不満や疑問を持ってきたことも強調しておきたい。
 16年以来、3度行われてきた合区選挙はやはり、民意をすくい取る上でのいびつさは否めない。
 候補者は広大な選挙区を十分に回ることができない。有権者も他県を地盤とする候補との接点に乏しく、選挙への関心は高まらない。疲弊する地方の実情が国政に伝わりにくくなるという懸念も依然、根強い。
 合区対象4県では、投票率や無効投票率が悪化している。今年5月に行った本紙の県民世論調査では、解消を望む声が8割を超えた。「1票の不平等とは別に、新たな不平等が生じた」という専門家の指摘は県民の不満を代弁していよう。
 もともと合区は緊急避難的措置とされた弥縫(びほう)策である。導入を決めた15年の改正公選法は付則で、19年の参院選までに「抜本的見直しについて必ず結論を得る」と明記している。この間、小手先の急場しのぎに終始してきた各党は怠慢のそしりを免れまい。
 与野党9会派でつくる「参院改革協議会」が先日、今国会で初めての会合を開いた。25年の参院選に向けて格差是正が迫られる一方、合区の解消も主な論点になるようだ。
 だが、これまでの議論では憲法改正による解消を訴える自民党と、異を唱える野党との隔たりは大きく、意見集約は容易には見通せない。
 本紙は「衆院のカーボンコピー」とやゆされる参院の現状を検証し、両院の位置付けや役割分担を問い直す本質的な議論を求めてきた。
 その議論を徹底した上で、このまま「人口割の単純平等」で他地域にも合区対象を拡大するのか、改憲なり、法改正なりで抜本的な改革に進むのかを示してもらいたい。
 選挙制度改革は各党とも勢力消長に直結するだけに、議論が袋小路に入ってきた側面もある。各党には党利党略を排した姿勢を求める。

高知のニュース 社説

注目の記事

アクセスランキング

  • 24時間

  • 1週間

  • 1ヶ月