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2022.11.19 08:40

時計台がシンボル 高知市の追手前高校本館、登録文化財に 44連隊弾薬庫・講堂も 文化審答申

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宝形屋根の時計台が特徴的な追手前高本館(高知市追手筋2丁目)

宝形屋根の時計台が特徴的な追手前高本館(高知市追手筋2丁目)

 国の文化審議会(佐藤信会長)は18日、旧陸軍歩兵第44連隊弾薬庫と講堂(高知市曙町2丁目)、追手前高校本館(同市追手筋2丁目)の3件を登録有形文化財にするよう永岡桂子文部科学相に答申した。旧陸軍施設、学校建築としては県内初の登録。県内の登録有形文化財は282件となる。

重厚な造りの44連隊弾薬庫(高知市曙町2丁目)

重厚な造りの44連隊弾薬庫(高知市曙町2丁目)

 44連隊の弾薬庫と講堂は、連隊の中心施設があった高知大学朝倉キャンパスの西隣にある。1900年前後に建設され、連隊の建築物として唯一現存する。弾薬庫はれんが造りの平屋で、れんがの壁の内外に板を張り、扉は鉄板で覆われている。講堂は3室を間仕切りできる木造平屋で兵士の講義棟として使われた。

 両施設は戦後、国立印刷局の倉庫として利用され、施設が閉鎖された2011年以降、住民らが保存運動を展開。県は文化財として保存活用するため21年、跡地を3億2540万円で国から購入した。今後、施設改修などを進め、26年度以降の一般公開を目指す。

兵士の教育に使われた講堂の内部(高知市曙町2丁目)

兵士の教育に使われた講堂の内部(高知市曙町2丁目)

 保存運動に関わった戦争遺跡保存全国ネットワーク共同代表の出原恵三さん(66)は「高知の戦争の歴史を見つめられる施設として幅広く活用してほしい」と期待している。

 追手前高本館は1931年築の鉄筋コンクリート造り3階建てで、県内を代表する近代学校建築とされる。左右対称の建物の中央に、和風の宝形(ほうぎょう)屋根の時計台がそびえる外観が特徴的。国会議事堂などの建設に関わった建築家、武田五一(ごいち)が設計を指導した。45年7月の高知大空襲では被災を免れ、教室や廊下の腰板壁に往時の雰囲気を残す。高知城から延びる追手筋に面し、時計台は街のシンボルとなっている。

 全国では、明治時代にニシン漁で財をなした網元の屋敷「ニシン御殿」を宿泊施設に改修した「銀鱗(ぎんりん)荘旧本館」(北海道小樽市)や、2020年の豪雨で被災した「公衆温泉新温泉」(熊本県人吉市)など高知を含む22都道府県の109件が答申された。近く答申通り告示され、建造物の登録有形文化財は1万3639件となる。(楠瀬慶太)

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